2012.03.13 Tue
フェミニズムの旅-終着駅は「男性学」!?
ちょっと日が経ってしまいましたが、3月3日のお雛祭りの日に
昨年から続けてきた『新編 日本のフェミニズム』最後のブックトークが行われました。
最後を飾るのは、第12巻「男性学」です。
チラシがなんとも笑える。(チラシPDF)(http://wan.or.jp/booktalk/wp-content/uploads/2012/01/5ecaf32be614e739a5bd320dd03c1b28.pdf)
ほほ笑む上野千鶴子さんの横に、ちょっと浮かない顔の(?)伊藤公雄氏。
「男性学」の第一人者伊藤氏と女性学のパイオニア上野さんの対談は
まるで漫才のぼけとつっこみ、チラシのイメージそのものなのさ。
ネクタイにスーツで現れた伊藤氏に、上野さんすかさず「なんでそんなコスプレしてんの?」
男の定番ネクタイを「コスプレ」と言われた伊藤氏は、
「これを着けていると、みんなが集中して聞いてくれる気がするから」と
言い訳がましく言う。すると、
「じゃあ(ネクタイをしていない)女の話は軽く思われているってことね」
さらに突っ込みを入れる上野さん。
汗をふきふき、たじたじの伊藤氏の姿をみていると
「おとこって、かわいそ~ねえ。そんなに虚勢をはらなくても」って思ってしまう。
もし、これが演出だったら、すごいわね。
この日の会場は、立教大学。
会場には、団塊の世代かそれ以上の年齢の男性の姿がかなり見られた。
(立教OBかしら)
わたしの隣の席にお座りの男性も70歳近い方。
「ここへは、どうしていらっしゃったのですか?」と思わず声をかけてしまいました。
すると、思いがけない言葉が。
「上野はうそを言うからな。どんなことを言うのか聞いてやろうと思って」
なるほど・・・そういうことですか。
肯定的な聴衆ばかりではないのだなと痛感。
しかし、この挑発的なおじさま、最初は仏頂面で腕組みして睨んでおりましたが
最後は少し柔和なお顔になって帰って行きました。
男の「気づき」の必要さを提唱する伊藤氏の話に少しは影響されたかしら?
ところで「女性学」は知っていても、
「男性学」という言葉を初めて聞くかたもいらっしゃるかも。
この「男性学」は、旧版の「日本のフェミニズム」にもちゃんとあったんです。
「別冊」で。
そのときの編者は上野さんでした。
「女のことは、女が一番よく知っている。男なんかにとやかく言われたくない」と
女性学が誕生したのですから、男性学だって本当は男が論じるのが筋でしょ。
ってんで、新編では、伊藤公雄氏が編んでいる。
「男のことは男でやんなさい、って引き継いであげたのよ」とは、上野さん。
男女平等な社会になるには、女だけが頑張ったって駄目。
男も変わらなきゃ。
競争社会の中で降りられない男の人たちに対して
「や~めた」と早々と降りた女たち。
いや女は「降りざるを得なかった」のだ、出産や育児や介護のために。
でも、一度捨て去れば、身も軽い。
なくすものはないから女は強いのだ。
上野さんと伊藤氏の対談を聞きながら、そんなことを思った。
この日は全国を駆け巡った『新編 日本のフェミニズム』ブックトークの旅、最後の日。
最後に行き着いたところが「男性学」とは。
これが終わりか、始まりか!?
わたしは13会場で行われたブックトークのうち、
ビデオ撮影班として、静岡(2会場)から、弘前、青森、札幌、名古屋、
大阪、盛岡、今回の東京と9か所を追っかけました!
(これまでの開催地は、WAN「拡がるブックトークの輪!つながる」に)(http://wan.or.jp/booktalk/?p=529)
各地の人々との出会い、おいしい食べ物、ハプニング・・・etc.
いやあ、楽しかったっす。
なんだか、楽しい夏休みが終わっちゃった気分。
さて、次のお楽しみは、何かな?
◇いとうしずか◇
カテゴリー:拡がるブックトーク2011