わたし、28歳で会社を辞めて、イギリスへ留学しました!退職するって、大きな決断が必要ですよね。よく言われました。「とりあえず、休職にしたら?」と。でも、自分にとって会社を去ることは、敷かれたレールから外れ、新たな未来を築くための第一歩。会社員生活を終えた翌月、イギリスで新たな生活をスタートさせていました。
元々勤務していたのは、福利厚生が整い、休暇もしっかり取れる恵まれた職場。安定した生活を手に入れた一方、イベント企画や海外出張をこなし、対外的に活躍する同期の姿をみて劣等感を感じる日々。もし自分が男性だったら、他の社員より早く出社してお茶や新聞の準備、机ふきをする必要なんてなかったのではないか。社会人生活の中でなんとなく理不尽さを感じながら、次の一歩を踏み出す方策を考えていました。
「よし、留学しよう!」
外国語学部出身にも関わらず、英語力には全く自信なし。早く大学を卒業したい一心で留学には目もくれず、就職活動中も英語を使用する仕事は全く視野に入れていませんでした。「英語を話せます!」と堂々と言えない悔しさに加え、漠然とした海外生活への憧れ。今振り返ると、かなり単純な考えでしたが、留学して英語力を磨き、少しでも自信をつけて次の仕事へつなげたい。そんな思いを抱きつつ、英語の勉強だけは続けていました。
当時、海外旅行はおろか、飛行機に乗ったことさえ一度もなし。一人暮らしの経験も、英会話学校へ通ったこともなし。そんな状況で長期留学を計画するのはあまりに無謀だと思い、退社一年前に一週間、海外の語学学校へ通いながら現地の生活を体験してみることにしました。
選んだ国はオーストラリア!
比較的治安が良くて時差が少なく、自然に囲まれた生活ができるので、初めての海外滞在先としては最適の国でした。到着直後、ホストマザーが地元の野生動物公園へ連れて行ってくれましたが、「じゃあ、後で迎えに来るから」と去って行き、見知らぬ土地でいきなり一人きりに!早速、海外生活の洗礼を受けましたが、コアラはもちろん、カンガルーやワニなど数多くの動物に触れながら、オーストラリアの雄大な自然を存分に味わうことができました
最も驚いたのは、自分の英語力が意外と通用したこと!単語を並べるだけでもボディランゲージを使って必死に伝えようとすれば、相手も理解しようとしてくれます。
人見知りしない性格が幸いでした。もちろん、留学しなくても英会話をマスターすることはできますが、他国の文化や生活、考え方に直接触れることは普段なかなかできません。わずか一週間の滞在でしたが、英語でコミュニケーションを取ること、そして様々な国の文化に触れることの楽しさを感じられたのが一番の収穫でした。
オーストラリアから帰国後、次の留学では英語学習以外に、何かを成し遂げて帰国したいと思い始めていました。当時、アメリカの大学の人気授業を紹介する番組を観ていた影響もあり、海外で講義を受けてみたいという想いがあったので、思い切って海外の大学院を受験することに!大学で専攻していたイギリス史の知識を活かすため、一年で修了できるイギリスの大学院を受験、仕事をしながらも無事合格をいただくことができました。
いざ上司や同僚に退社の意思を伝え、温かい言葉をかけていただいた時は、退路を断って自分の道を突き進むことに少しだけ迷いが生じました。帰国した現在、留学という決断を下した自分の判断は間違っていなかったと断言できます。今までのようにこれからも、自分自身の能力、直感、そして行動力を信じることが重要だと実感しています。
自分の人生を変えるためには、まず行動。
行動を起こした私が、自分の価値観をこれほどまでに大きく変えていくことになるとは、この時は気付いていませんでしたが…
つづく
Megure Yui