前回の記事では、留学を決意した私が初めての海外の地としてオーストラリアを選び、その雄大な自然や動物たちに癒やされた経験をお伝えしました。今回からは、長期滞在したイギリスでの生活をご紹介したいと思います。

ストーンヘンジ。どんよりした天気がイギリスらしいです。

 なぜかイギリスってとても遠い国のように感じませんか?日本の学校ではアメリカ英語が教えられるし、ニュースを観ていてもアメリカやアジア諸国のものが目立ちます。EUの情報が時々入ってくるくらいで、イギリスを含めヨーロッパは自分にとって身近に感じられる地域ではありませんでした。特にイギリスは、「ご飯が美味しくない」というもっぱらのうわさ。寒くて天気が良くないイメージもあるし、イギリス英語も聞き取れない。留学を検討し始めた段階では、違う地域に留学しようと考えていました。

 それでも最終的にイギリスを長期留学の場所に選んだ理由は、何といっても文化と歴史の国であるということ。イギリスは音楽やファッションはもちろん、ガーデニングやアフタヌーンティーなど、日本人にも馴染みのある文化の発信地です。そして、古き良き街並みや伝統を重んじる価値観が根強い。歴史を学んできた私にとって非常に興味深い場所でした。他にも、日本を含めアメリカやカナダでは修了するのに通常2年かかる修士課程がイギリスでは1年で済むので、学費や生活費を抑えられることも魅力的でした。漠然と当時から「将来は女性のために何かできる仕事に就く」という想いがあったので、ジェンダー関係の科目が取れるコースを検索。これまで学んできたことを活かすため、最終的に「ジェンダー史」が学べる大学を選択し、イギリスの修士課程に入学することにしました。

 大学を選ぶ上でジェンダー史が学べること以外に決め手となったのが、なんと言ってもキャンパスの美しさ。ご覧ください、このヴィクトリア朝様式の豪華な建物!!

大学の写真を見たときから、「こんな素敵な建物で勉強してみたい!」というミーハー心が高ぶっていました。お城のようなメインビルディングの中には教室や食堂の他に、教会や学生寮なども入っています。残念ながら私は別の寮に入居していましたが、教会で聖歌やゴスペルを聞いたり、肖像画が張り巡らされた美術館のような食堂で食事をしたりと、まるでヴィクトリア朝時代にタイムスリップしたかのような感覚!当時の文化や歴史を学んだことのある私にとってはまさに理想的な学生生活でした。

子ジカがお散歩中!?

 キャンパスは緑豊かな丘陵地にあり、様々な動物と巡り会えました。キャンパス内には野生のリスが至る所にいますし、シカの親子も何度か見かけました。イノシシが住んでいるという噂も。そんな森の中で時折、何も考えずにのんびりと過ごす時間はとても貴重でした。キャンパスはロンドンの中心から離れていたので、街の喧騒に巻き込まれることもなく、勉強に没頭できる環境でした。日々、仕事の忙しさを理由に、自然に触れる機会を失っていたわたし。改めて、空気の美味しさや自然の美しさを感じながら、歴史を学ぶという贅沢な時間を過ごせたなと思います。

とはいえ、始まったばかりのキャンパス・ライフは波乱続き!次回は、キャンパスでの寮生活についてご紹介したいと思います。

 つづく

 Megure Yui