タイトルにあるとおり、この本は「She」という三人の女性たちの生き方に関する一冊です。
出発点は、何だか、の違和感です。
生まれてからずっと、女性は人生のイベントごとに変わる「子ども」「嫁」「妻」「母」という、「誰かの」という言葉が前提としてあることで成り立つ何か、です。しかし、女性はいつでも、その何か、になっていかねばならないのでしょうか?
「属性」をまとうことだけが、女性が「自分」であること、なのでしょうか?
こうした疑問が、私たちが『Sheという生き方』という本を書く出発点になった、何だか、の違和感でした。
この本で取り上げているR40世代の女性の暮らしには、仕事のキャリア、障がいのある子育て、不妊治療があります。アラフォー女性の「胸のなかにあるもの」 、仕事や子ども、夫との「距離のなかにあること」をていねいに言葉にしました。
「距離のなかにあること」―――これは、ドラマ「逃げるは恥だが、役に立つ」の主題歌、星野源氏の「恋」の歌詞にある言葉ですが――― この言葉を耳にして、「確かになぁ、そう書きたかったんだよなぁ」と思いました。
自分にとっての幸せが何かを問い、働くことやその成果・作品、仲間と自分自身との「距離のなかにあること」を考えている共著者の廣田さん。自分の子どもという「人」の幸せ、そして自分と子どもとの「 距離のなかにあること」を大事にしているゆか子さん。 夫との人生を築くために、二人の「距離のなかにあること」 を尊重し続けている玲子さん。
この3人が、この本の主人公である「She」です。
働くことも子育ても結婚も、すべては相手があってこそ。どんなに自分だけに勇気があっても、「自分が納得できる」ようにだけ努力しても、相手がそれをさせてくれなければお仕舞いです。
理想を追って、このまま突き進むか。自分だけの満足は通用しないと腹をくくり、現実を受け入れていくか。どちらを選ぶにしろ、相当な覚悟が必要です。まずは、女性という「おひとりさま」を一人の人として生きること。その上で人生、誰かと生きていく。だからこそ、人として人に接する配慮と思いやりは常に持ち続けていきましょう。それが、『Sheという生き方』なのです。
そう伝えたくて私たちは、「恋」ダンスを好んで踊る20歳ほどの女性たちに講演をし、講義をしています。彼女たちに何が伝わったのかしら? と考えあぐねると気恥ずかしい。私たちは生き方から「逃げはしなかったけど、この本は役に立たない」んじゃないかしら? と気弱にもなります。
けれども。
こうして、人前で私たちの本を紹介できるようになって思いました。本は世界や人の心を変えることはできない。でも、一瞬でも読む人の考え方や、そのまわりにある世界により添えるのかもしれない。
どうか、この本があなたに届くとき、何かのお役に立ちますように。悲しい日をちょっとでも変えたい。前に進もうかなと少しでも思えるきっかけになれば、『Sheという生き方』が書けてよかったなぁと私たちは心から思うのです。
(著者:嶋守さやか・廣田貴子)
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