聖心女子大学元副学長で、文学部教授であった岩上真珠先生が2017年8月9日にご逝去されました(享年67歳)。謹んで岩上先生のご冥福をお祈り申し上げます。
 岩上先生は家族社会学をご専門にされ、家族を社会変動のなかに位置づけ、個人をライフコースの視点から研究し、近代のあり方を常に探求していらっしゃいました。多くの著作をだされましたが、『ライフコースとジェンダーで読む家族(第3版)』(2013年、有斐閣)、『国際比較:若者のキャリア』(2015年、新曜社)などがあります。
 聖心女子大学には2002年から在職され、岩上ゼミは人気の高いゼミで、学生たちがよく先生の部屋を訪れ、懇切なご指導を受けたり、にぎやかに談笑したりしていました。厳しいけれどあたたかみのある、学生のことを一番に考え、そして面倒みの良い学生指導をなさっていたものです。
 2012年4月に学生担当副学長を拝命され、大学全体の運営にも尽力されました。2013年9月に健康上の理由から副学長職を辞され、大変心配いたしましたが、元気に復職されました。その後は、ご病気前と変わらぬ、快活でエネルギッシュな岩上先生でしたが、今年にはいってから、ややご体調がすぐれないご様子で、6月1日にご入院、8月9日に旅立たれてしまいました。
 2017年9月30日に聖心女子大学聖堂にて岩上真珠先生追悼ミサ、その後、学内にてお別れの会をとりおこないました。岩上先生を思う多くの方たち-恩師や同級生、研究仲間、明星大学や聖心女子大学の教え子たちが聖堂いっぱいに参加してくださいました。 お別れの会ではおつれあいが作成されたDVDが上映され、若かりし頃のお写真やイタリア旅行を楽しまれているご様子などに接することができました。
 岩上先生から教えていただいた多くのもの、学問的な視点はもちろんですが、温かい思いやりある気持ちやユーモアを大切にする心、他者をいちばんに考える姿勢や公正な視点、こうした貴重なものを、これからの社会を築いていく若い人たちに引き継いでいきたいと考えています。 岩上真珠先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。
          聖心女子大学 大槻奈巳