
この数十年、女性のスポーツ界での活躍は目を見張るものがあり、スポーツに参加する女性の人数も大きく増加していますが、依然として女性が不当に扱われることがあります。
日本では近年、スポーツ界のパワハラなどのニュースが大きく取り上げられましたが、セクシュアルハラスメントといった事件を除き、女性のスポーツ活動に対しての差別は、社会的な問題とはなってきませんでした。
また、2019年サッカー女子ワールドカップで優勝したアメリカチームの選手たちが男女賃金格差是正を求めて声を上げ、「イコール・ペイ!」のコールが響く優勝祝賀パレードの様子が報道されたことは記憶に新しいところです。世界のスポーツ界においても、今なお、様々な問題があることを、改めて思い起こさせるニュースでした。
本書は、女性スポーツの歴史、生理学はもとより、トランスジェンダーや性暴力、様々なハラスメント、加齢、障がい者スポーツ、学校や組織、政治の場での差別など、女性とスポーツに関わるあらゆる問題に切り込んでいます。また、テニスのセリーナ・ウィリアムズやLGBTを公表したサッカーの元アメリカ代表選手アビー・ワンバックといった著名選手の赤裸々なエピソードや本人のコメントも数多く掲載されています。スポーツ界の中だけに終わらない社会における女性問題にも光を当てる先進的な評論となっており、スポーツ関係者のみならず、多くの方に手に取っていただきたい1冊です。
【目 次】
序 章 女性アスリートになる
第1部 女性スポーツの過去と現在をつなぐ
第1章 歴史のレンズを通して見た女性スポーツ
第2章 タイトルIX、そしてその先へ 公民権と女性運動が女性スポーツに与えた影響
第3章 21 世紀の女性スポーツ
第2部 強い女性たち、子どもも大人も
第4章 あらゆる世代の女性のスポーツ参加の恩恵とリスク
第5章 生理学と女性アスリート:生物としての宿命なのか?
第3部 女性、スポーツ、そして社会的立場
第6章 有色人種女性アスリートの経験
第7章 性自認と性指向 スポーツにおけるインクルージョンと偏見
第8章 女性のスポーツと加齢
第9章 障がいをもつ女性とスポーツ
第10章 女性、スポーツ、性暴力
第4部 スポーツ産業界の女性たち
第11章 女性、メディア、そしてスポーツ
第12章 スポーツ組織・団体における女性リーダー
第13章 高校スポーツ・カレッジスポーツに関連する職場における女性リーダー
第14章 女性スポーツの商品化とマーケティング
第15章 宗教と政治が女性スポーツに与える影響
終 章 女性アスリートの未来を垣間見る
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
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