書 名 10代から考える生き方選び
著者名 竹信三恵子
出版社 岩波書店(ジュニア新書)
発行日 2020年6月20日
定 価 902円(税込)


 この本を読んだ女性読者の方がたから「この本に書かれたことをもっと早く知りたかった」「10代のときに読みたかった!」と感想が寄せられた。それらを聞いた際、同じように感じる人は少なくないのではないかと感じた。これだけ情報過多の時代であるにも関わらず、「生き方」に関わってのアドバイスは、世間一般のジョーシキや損得で語られることが多いからだ。そのため、かなりの人が社会の変化等を考慮せずに「生き方」における選択をしてしまいがちだ。結果、「こんなはずでは・・・」と頭を抱えたり、ため息をついたりという人もそれなりにいるのではないだろうか。
「あのとき、もうすこし情報を集めていれば・・・」
「親や教師以外の人の言葉も積極的に聞けばよかった」
「自分の欲しい情報だけでなく、デメリットやリスクについても考えるべきだった」等々。

 そこで本書では、専業主婦、大黒柱、バリキャリ、非正規、ひとり親、お一人様など現代社会の中から8つの象徴的な生き方・働き方を取り上げ、それぞれの歴史的経緯、現状、リスク、メリット等を解説し、これからの「生き方」選びの参考にしてもらいたいと考える。

 とくに10代後半から20代前半は、具体的な職業ばかりでなく、これからどんな人生を歩みたいか、どんなふうに働いていくのかを真剣に考え始める時期でもある。ぜひ手にとって、将来について俯瞰してもらいたい。いろいろやってみても、結果として、うまくいかないこともあるかもしれない。しかし、その経験は失敗では決してない。つぎの選択を支える力になっていくはずだ。

 また親の世代や教員の方々にもぜひご一読願いたい。世代が違えば、人生における「選択肢」も変わってくるということを理解できれば、若い世代へのアドバイスや寄り添い方も変わってくるからだ。

◆文責:岩波書店ジュニア新書編集部 山下真智子