2010.12.19 Sun
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「もういくつ寝るとお正月」というわけで今回のわたしのイチオシは『百人一首』。
本書の頁をパラパラとめくっていると、いろいろな記憶がよみがえってくる。「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」を読むと、坊主めくりのときの「蟬丸」の顔が思い浮かぶし、「いにしえの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな」には、小学生のとき担任が、なぜだか理由は覚えていないのだが、クラスの生徒に向かってこの歌を一週間後も覚えていられるかな、と言ったのを思い出す(結局この歌、それ以来わたしの記憶にとどまっている)。そしてこれら『百人一首』のほとんどを何となく知っているような気がするのは、たぶん高校生のころ暗記する宿題が出たからだ。
高校時代は嫌々覚えていたこれらの和歌も、それからずいぶん経って大人になって、解説付きで読んでみるとさまざまな発見があっておもしろい。編者による解説では、それぞれの作者の伝記的な情報から、これらの和歌と他の作品との関連、また「ビギナーズ・クラシックス」とあるように「序詞」「歌枕」などといった和歌の基本的な知識も教えてくれる。それによると、先の「いにしえの奈良の都の…」という歌は、作者伊勢大輔(いせのたいふ)が新参女房として宮中に初出仕した際に、同席した藤原道長によって(その力を試すかのように)和歌を詠めと命ぜられ、緊張の極致のなかで作られたものだということだ。(lita)