日本在住の外国人学者と海外在住日本人教育者が日本における性被害とその社会的構造を分析する。著者は性的虐待の加害者に対する不処罰という文化的構造にどのように対抗できるかを本書で示している。
　現地調査やインタビュー、多様な学術文献を通じて、教育現場と社会における性的虐待問題の本質を検証し、加害者を正当化する社会的集団を考察する。また、一定の過激派が「慰安婦」が「被害者ぶる」、つまり偽りの被害者であることを証明することに執着している点にも注目する。
　日本社会の研究者、特に日本社会における女性の位置づけについて関心を持つ研究者に読んでいただきたい一冊である。

目次
PART ONE: The present situation: An overview
1. Sexual Abuse in Japanese society
2. Sexual abuse in educational contexts in Japan

PART TWO: Sexual abuse in Japan: A psychosocial exploration
3. In the shadow of male hysteria: International status anxiety
4. In the shadow of male hysteria: Retaliation anxiety

PART THREE: Beyond the #MeToo model
5. Transcending the past, constructing the future
6. "Sei higaisha o kizutsukenai shakai ni": Toward a society without victims of sexual abuse

◆書誌データ
書名　：Sexual Abuse and Education in Japan: In the (Inter)National Shadows
著者　：Robert O'mochain and Yuki Ueno
頁数　：‎ 214頁
刊行日：2022/9/9
出版社：Routledge
定価　：22,272円（税込）