2012.04.09 Mon
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本書では、森まゆみさんがみずからシベリア鉄道に乗って、与謝野晶子、宮本(中條)百合子、林芙美子たちのヨーロッパ旅行の経路を辿る。森さんは三人の女性作家の作品や日記に登場する旅行にも言及しながら、21世紀に旅する森さん自身が体験した中国の大連、長春、社会主義崩壊後のロシア、ベラルーシ、ベルリン、パリについても綴る。長距離夜行列車の様子、また同行してくれた日本で勉強している留学生たち(ロシア人、中国人)との交流なども興味深い。
三人の女性作家たちが旅で出会う人、見るもの、あるいは記すことが異なるのは、時期のずれだけに起因するのではないだろう。それぞれの関心や、性格や、彼女たちの社会的背景ともおおいに係わっている。それにしてもヨーロッパに行くのに大変な時期(与謝野晶子1912年、宮本百合子1927年、林芙美子1931年)に、言葉もほとんどわからずにシベリア鉄道に乗ってはるばるヨーロッパへと彼女たちを駆り立てたものは何だったのか。そのエネルギーに感心せずにはいられない。(lita)
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