みなさま、お久しぶりです。
いかがお過ごしでしょうか。

オランダでは寒い冬が始まり、雨が続く日々です。
そんな灰色の空の下でも、街には少しずつクリスマスの明かりが灯り、12月らしい季節がやってきました。


みなさんはどんな一年を過ごされたでしょうか。

今日は、最近オランダで耳にしたニュースや、個人的な体験を交えながら、こちらの社会の空気を少しお届けしたいと思います。



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■ オランダ下院選挙に見えた社会の価値観

10月29日、オランダで下院議会選挙が行われました。 前回の選挙では極右政党 PVV が第一党となり国内外で議論を呼びましたが、今回最も多く票を得たのはリベラル政党の D66 でした。
党首のロブ・イェッテン氏は、自身がゲイであることを公にしており、オランダの多様性を象徴する存在でもあります。



選挙前に、「オランダ版ボートマッチ(投票マッチ)」を試してみました。
これは自分の価値観や政策の優先順位を可視化してくれるもので、社会が直面する課題を知るきっかけにもなります。
たとえば、こんな問いがありました。
● 子ども手当は、収入に応じて制限すべきか?
● セックスワーカーの就業年齢を18歳から21歳に引き上げるべきか?
● “中絶=犯罪”とされる刑法上の規定を廃止すべきか?
中でも驚いたのは、日本と同じように、オランダでも中絶に関する刑法規定が今も残っていたこと。
普段は見えにくい「社会の根っこ」に触れた気がしました。



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■ IDFA――世界最大級のドキュメンタリー映画祭へ
11月には、アムステルダムで開催された国際ドキュメンタリーフィルムフェスティバル IDFA に足を運びました。

世界最大級のドキュメンタリー映画祭と言われますが、カンヌのような華やかさはなく、一般の市民が気軽に観に行ける、とても親しみやすい映画祭です。

上映作品は、社会問題、家族、音楽、そして実験的な映像作品まで本当に多彩。
ちょうど日本の友人が映画祭関係で来蘭していて、一緒に鑑賞する貴重な機会にもなりました。

会場はアムステルダムの歴史的映画館 Tuschinski(トゥシンスキー)スペルが読みにくい。

アール・デコ、アール・ヌーヴォー、アムステルダム派が混ざり合う豪華な内装は、“世界で最も美しい映画館”と呼ばれるのも納得です。

メインホールはレッドカーペットや二階席があるなど、オペラ座のように豪華だそうです。



私の会場は全席ソファー席でした。

鑑賞したのは、大田香織監督の 「Underground」。
地下空間に潜む記憶や歴史を独自の映像表現で探る作品で、静かに心を揺さぶられる時間でした。

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■ 「8歳から」子どもが離婚調停に参加する国

オランダの家族法では、これまで12歳以上の子どもが離婚調停に意見を述べることができましたが、法改正により 今後は8歳から権利が認められることになりました。

「8歳はまだ小さい」と感じるかもしれません。
しかしオランダでは“子どもは小さくても、一人の市民としての人格を持つ”という価値観が強く、現場の専門家たちの間では「8歳でも驚くほど自分の意見を表現できる」という実感が積み重ねられてきたそうです。
聞き取りは、児童心理士や調停員が安全な空間で行い、
絵を描いてもらったり、人形を使ったりしながら、
子どもの負担を最小限にしつつ“本当の気持ち”を丁寧に引き出す方法が取られます。

“世界一子どもが幸せな国”と言われるオランダですが、その背景にはこうした細やかな制度と価値観があるのだと感じました。



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■ 変わりゆく世界の中で、私が願うこと
今年も世界では悲惨な戦争や衝突が続きました。
日本や東アジアの穏やかな日々も、ずっと変わらず続くものだとどこかで思っていましたが、最近はそう楽観的にもいられない動きが見えてきます。
だからこそ私は、日々の暮らしのなかで、
平和を願い、
身近な人と対話を重ね、
今ある小さな幸せを丁寧に守っていきたいと改めて感じています。
大きな出来事に振り回される時代だからこそ、
足もとにある“穏やかな日常”を大切に抱きしめたいと思うのです。



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冬のアムステルダム中央駅。

駅構内のイルミネーションが綺麗でした。



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今年も一年、私のオランダ便りを読んでくださりありがとうございました

来年が、みなさま一人ひとりにとって穏やかでやさしい年になりますように。

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クッキーはいつも平和です。



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Sami
1973年生まれ。Feminist、非典型所属者。
WANオランダ特派員
大事なもの:Freedom of Choice
座右の銘:実践あるのみ
猫と幸せに生きています。
自分の居心地のいい場所は自分で作ります。どうぞご一緒に。
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