2025年8月に『学校の「男性性」を問うー教室の「あたりまえ」をほぐす理論と実践』(大江未知、虎岩朋加、前川直哉、教育科学研究会編著、旬報社)が出版されました。許可を得て、下に「まえがき」を転載します。

はじめに
 男女平等だと考えられていた学校は、実は男性を標準としてつくられた、男性中心の場所なのではないか。「学校教育の問題」として語られてきた課題の多くは、実際には「学校教育に内在する男性性の問題」なのではないか。この本は、そうした問題意識を出発点にしている。
 この本のもととなっているのは、雑誌『教育』2024年11月号の第一特集「学校の「男性性」を問う」である。この特集は大きな反響をもって迎えられ、教育関係者の間で活発な議論を呼んだ。本書の「あとがき」にその詳細が記されているので、参照してほしい。
 本書では、特集の論考に大幅に加筆し(章によってはほぼ新たに書き下ろし)、さらに複数のコラムと、「学校の男性性」についての読者アンケートの結果を掲載した。雑誌『教育』の特集を読んだ方にも、未読の方にも、ぜひお読みいただきたい内容となっている。
 雑誌『教育』を編集する教育科学研究会(教科研)は、子どもの未来と教育のあり方について、教職員、保護者、指導者、学生、研究者などが共に考えあい、実践・研究しあう団体である。この本の執筆陣の中心は小中高の現職教員であり、現場の実相と奮闘のようす――小学校でのジェンダー教育や、男子校での女性教員の実践、教員による異性装での授業など――が伝わる内容となっている。また、実践と研究の対話をとおして、それぞれの言葉が紡ぎ出されていることも本書の特徴となっている。
 私たちはたくさんの議論を重ね、その知見を現場での実践に活かしながら、この本を執筆した。それはこれまで諦めかけていたことが急に別の色をもって輝きだし、新たな可能性として目の前に現れてくるような、得難い経験だった。あなたもこの議論と実践の輪に加わってくれることを願っている。
編者一同

この書籍の出版を記念して、2026年1月11日(日)に教育科学研究会1月プレ学習会で執筆者全員がそろってシンポジウムをおこないます。現地参加もオンライン参加も可能です。ぜひご参加ください。

日時   1月11日(日)13時~17時
形式   現地参加とオンライン参加のハイブリッド
開催場所 京都教育大学(JR京都駅から20分)
アクセスURL  https://www.kyokyo-u.ac.jp/access/

申し込みはこちらから Peatixのページに移ります

参加費 1000円 
※オンライン参加の場合は、機材やオンライン設備の関係で映像が途切れたり、音が聞きづらいことがあると思いますが、ご了承ください。
※オンライン情報は、1月8日(木)ごろメッセージで送らせていただきます。

主催:教育科学研究会、関西大会@大阪暁光高校 実行委員会

【問い合わせ先】
教育科学研究会
事務所 〒 162-0818 東京都新宿区築地町 19 小野ビル 2 階
メール kyoukaken@nifty.com


書名:学校の「男性性」を問うー教室の「あたりまえ」をほぐす理論と実践
著 者:大江未知、虎岩朋加、前川直哉、教育科学研究会編著
頁 数:160頁
刊行日:2025年8月5日
出版社:旬報社
定 価:1,800円+税
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