
今月の陽の当たらなかった女性作曲家たちは、初のイラン人、アソー・コーズィー(Aso Kohzadi)をお送りします。1982年テヘラン生まれです。
両親ともに医療に携わる環境下で、先ず8歳で子どもの音楽専門のクラスに通いました。楽器専攻のほか、作曲や理論も学びました。先生の勧めでバイオリンの専攻に決め、傍ら作曲や理論も学びました。余暇には民族楽器のシタールやセタール、またフルートも勉強しました。
学内オーケストラは10歳頃からメンバーになり、初舞台はBahman文化センターでした。オーケストラでは周りに他の生徒も一緒に座り演奏をしますので、何のプレッシャーも感じることはなかったです。でも13歳で受けたFajr 音楽祭のコンクールでは、初めて一人で舞台に立つ経験をして、たいそう緊張をしました。ちなみにコンクールは一位を取りました。
高校時代は数学を専攻し、その後コンピューターサイエンス専攻の大学に合格しました。でも音楽へのあくなき興味が勝り、せっかくでしたが退学して、Sooreh 大学の音楽専攻に入学し直しました。修士課程はテヘラン芸術大学で取得しました。この間、19歳から29歳まで音楽教室に勤め、生徒指導もしていました。
その後、電子音楽の作曲を学ぶ必要性を感じ、29歳の2011年にオランダへ渡りました。ハーグにある王立音楽院で電子音楽(音響学)で修士号を取り、スペインでも1年は電子音楽の勉強に励み、2014年にイランへ帰国しました。

音楽家の仲間と
イラン人には一度国を出ると、国には戻らずに海外での生活を続ける人も多いですが、彼女は当たり前に帰国を希望しました。故郷への深い愛で、故郷で音楽を続けていきたい強い気持ちが絶えずあったそうです。
帰国以来、舞台での演奏と並行してストリートミュージシャンとして街頭での演奏活動も活発です、人々の反応を直に感じることが楽しいそうです。
ペルシャ語で書かれたインタビュー記事の始まりは、Fajr インターナショナルフィルムフェスティバルで彼女の名前を何度も耳にし、実に11の映画音楽の担当として舞台に出てきたことで、多くの聴衆を驚かせたと記述があります。
インタビューのQ&Aから:
質問> ストリートで弾くことになったきっかけは? 回答> テヘラン市内の大交差点の地下道でした。たまたますれ違った子どもたちが、「こっちに来てバイオリンを弾いてよ」と言うので、おそらく、すぐに警官が飛んで来るだろうとは思いつつ、「いいよ、じゃここで」とバッハを弾き始めると、想像通り10分もしないで止められてしまいました。でも、たくさんの人が足を留めて聞いてくれたのです。こんなに多くの人々が忙しく行き交う地下道で、こんな反応があるのかと信じられない思いでした。たった10分とはいえ、この経験は深く心に刻まれました。それ以来、テヘラン市内、他の町、チャンスがあれば、どこでもストリートプレイを続けています。経験が浅い頃は余計な緊張もしましたが、次第に自分らしい演奏ができるようになりました。
質問> 女性のストリートプレイにどんな反応がありますか? 回答> 人によって様々です。イラン女性は、法律によりヒジャブ着用が義務付けられていますから、女性がヒジャブ姿で表現活動をすることに拒否反応を示す人も一定数います。ただ、大方は好意的な反応をくださいます。とりわけ若い世代の女性たちの反応はとても好意的で、視線の行き交いから、応援してくれていることを感じます。ありがたく、同時に勇気をもらっています。
2019年には二人の若手ミュージシャンのインスタグラムが突然閉鎖に追い込まれました。10万人以上のフォロワーのいるアカウントでしたが、イラン・サイバー警察/FATA により犯罪的なコンテンツが含まれているとされました。女性のアカウントは復活し、男性のアカウントはそれっきり閉鎖しています。
イランでは1978〜1979年にイラン革命が起こりました。当時の国王(パフラヴィー朝のシャー)は西側寄りで、国民は制約の少ない生活を送っていました。女性の服装は自由で華やかでしたが、一方で独裁的な政治に強い反発が起こり、宗教指導者ホメイニーを中心に国民の大規模なデモが広がり、79年には国王が国外に逃れ、それ以降イスラム教の教えを基盤としたイラン・イスラム共和国が誕生しました。

テヘランの風景
イランは現在も女性の服装に制限をかけていて、ヒジャブを着用しなくてはなりませんが、年々、抑圧からの解放運動が広がっており、それを取り締まる政府と反発する世論の間で時には激しい弾圧運動が続いています。逮捕された女性が獄中死に追い込まれたり、警察に性的被害に遭っています。以下のBBCや朝日の記事から情報を得ました。
イラン女性のヒジャブ着用などを取り締まる新法、施行を一時停止 - BBCニュース
男女平等度、世界143位でも戦うイラン女性 政府が恐れる展開とは:朝日新聞
【女性たちの戦い】イランの男尊女卑【ヒジャブのその後】 - 政治と経済の部屋
マフサ・アミニの死 - Wikipedia

2024年発売のCDジャケット
アソ―・コーズィーの作曲活動は、Protiva, Girih, Engareh, All the mountains give, Metronome 等、多数の作品がCD発売されています。Protiva に入っているピアノ作品は彼女のホームページからダウンロードが可能です。
本日の作品演奏は、2019年作のProtiva Gardenをお聞きいただきます。
資料資料
Aso Kohzadi ホームページ Aso Kohzadi وﺳآزادیﮭک - Composer and Violinist (Official Website)
FaceBookで見つけた、彼女が音楽担当をしたミュージックビデオ「Difiant Women」
https://www.facebook.com/share/r/1CBT4FxuPz/
ペルシャ語によるインタビュー記事
وﺳآزادی،ﮭکدهﻧوازﻧیﻧﺎﺑﺎﯾﺧﮫکﮫﻣھرازدهتﻔگﺷردک
イラン女性作曲協会〜IFCA. 2017年にアメリカで設立されました。
Facebook 主に海外を拠点に活動しているイラン出身音楽家が掲載されています。
このエッセイでは、ブダペストのフェミニズム読書会/映画会でお会いするイラン人女性、Talieh Ghorashi がペルシャ語検索で直接調べて下さいました。英語検索には限界がありましたので、大変助かりました。広い世界で自由に生きてほしいという両親の希望の下、ブダペストの名門大学で修士号取得後、そのまま仕事に就きイタリア人夫に出会い、ブダペストで暮らしています。
Special Thanks to Talieh Ghorashi for finding various information in Persian.
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