WANに掲載いただいた連続エッセイ『潮目を生きる』をもとに、『潮目を生きる 原発から海を守る祝島の住民』という本を、このたび上梓いたしました。
東京電力が福島県で建設・運転する複数の原発で、2011年3月に深刻な事故が連続しておきたあと、沙汰止みとなるかに一時は見えながら、いまも消えずなくならない上関の原発計画。
その遂行に必要な漁業補償金をめぐって、第二次安倍政権の発足直後から再燃した祝島での大騒動を軸に、原発用地のための海の埋め立てをめぐるスラップ裁判もふくむ、諸状況をお伝えしています。
より立体的に……と願い、40年以上にわたり原発を押しとどめる祝島の運動と人びとの暮らしや肉声、それなしには語れない女の人の存在、歳月の流れのなかで生じる担い手の世代交代、祝島に呼応してつながる他地域の人びとなども、風土や歴史とともに描こうと試みました。
なかでも、原発をめぐる海についての意思決定の場から、長らく事実上の排除をされてきた女の人たちが、危機に瀕して変化しつつ事態を打破していく姿を、現場に立ち会って叙述したものは管見の限りなく、僭越ながら草の根の貴重な記録と呼べるのではないかと思います。
よりよき環境と社会を志向する変革における、女性の力に関心を寄せる各地の人びとにとって、祝島の経験に学ぶことは多いのではないでしょうか。そのことを通して同時に、非暴力で国策にあらがい、自身の暮らしとともにみんなの海を守ってきた、祝島の人びとを支援することにもつながると思います。
はしがきから11章までは、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)のWAN基金に助成いただいた取材活動を土台として、WANのウェブサイトに掲載いただいた、連続エッセイ『潮目を生きる』をもとに再構成したものです。12章以降は、今回あらたに加筆しました。
刊行に際しては、一般財団法人上野千鶴子基金の出版助成をいただきました。時期は、関係者のご理解ご協力を得て、当初の8月予定を前倒ししています。「核のゴミ」とも呼ばれる使用済み核燃料の中間貯蔵施設を、上関につくる計画まで2023年夏に加わるなど、昨今の状況を鑑みて問題の整理や現状の打開の一助になればと願ってのことです。
是非ひとりでも多くの方に、お手に取っていただけますと幸いです。
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【目次】
はしがき 鞆の浦から祝島へ
序
第一部 潮目が見えるか
1章 潮とともに ─海と原発とカネ
2章 海売りは「漁師の問題」?
3章 満ち干は糧となり堀となり
4章 結集して海を受け継ぐ
第二部 原発恫喝裁判
5章 さかい目つなぎ目
6章 潮目に目を凝らせば ─横浜・富岡の祭礼舟と海と祝島
7章 点が線に線が面に、そして広い海のように
第三部 海におきる地上げのごとし
8章 前触れ
9章 女の人のチカラ
10章 自主か原発か
11章 嘘と無法への対処法
12章 大潮と選挙、侵食と分断 ─原発とカネの茶番
13章 暮らしと魚と原発 ─漁師五〇年・祝島からの声
終章
あとがきにかえて
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【推薦コメント】
「海はみんなのものじゃけん」に激しく同意。声をあげること、諦めずに抗い続けることによって必ずや変わっていくことを信じています。──樋口英明(元福井地裁裁判長)
祝島に原発を作らせない人々に、私たちはいつかきっと感謝することになるだろう。──上野千鶴子(社会学者、東京大学名誉教授)
瀬戸内海のスゴサを知って日本のオロカサを見抜く。今からでも遅くない、海賊になろう! ──アーサー・ビナード(詩人)
●書誌データ
四六版並製256頁 定価:2200円(税込) ISBN978-4-88059-454-5
2026.07.01 Wed









