2014.05.23 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.愛国活動にはまる〈普通の主婦〉が増えている。彼女たちは、かいがいしく家族の世話をして、愛情溢れる子育てに勤しむ同じからだで、排外デモで口汚く罵り、靖国神社で旗を振る。
本書は、そんな彼女たちを「知りたい」と強く願った著書ふたりが、実際の現場を訪れ、女性たちと会話し、丁寧に考察した一冊である。北原さんはフェミニストとしての視点で、朴さんは元・在日韓国人三世としての視点から、愛国女性たちを見る。
排外デモに参加した若い女性は、「日本を守りたい」と語る。主婦のひとりは、「自分がいじめられていたので、子どもには自尊心を与えてやりたい」と、我が子を「神の子」と呼び、教育勅語を読み上げさせる育児教室に通う。
元日本兵士を支援する別の女性は、「従軍慰安婦問題」について「泣いているおばあさんも気の毒だが、私は泣いているおじいさんを助けたい」と宣言する。
「愛国」は、3・11以降のこの日本に危機感を抱えた女たちにとっては、正義でもあり、女性同士のひとつの連帯の姿でもある。
本書が記録するのは、この国を生きる女性たちの、あまりにも深すぎる絶望かもしれないし(北原)、しかし、この日本で起きていることをやり過ごすことなく知るためには、私たちはお互いに言葉を交わしていくしかない(朴)。
明確な答えは、この本にはないけれども、知りたいという気持ちに寄り添う一冊である。彼女たちはそこにいる。無視することはできない。
(編集者 松尾亜紀子)
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