2011.08.25 Thu
子どもの頃、夏のうれしい食事の一つといえば、そうめんだと思っていました。ですが、今思えば、それは冷麦だったのです。味がどうだったか定かではありませんが、冷麦には、そうめんにない喜びがありました。それは、ほんの数筋入っている、赤や緑の麺。いつも、兄との奪い合いでした。今思えばあれは、人工着色料で染められていたのだろうな。あの貴重な数筋をめぐる兄との争いは、いつも兄が折れてくれたと記憶しています。食への拘りは、あの頃から続いているのでしょう。ちょっと醜い思い出です。
親戚のおじさんのおうちで、缶詰のみかんとさくらんぼに飾られた冷麦が、きれいなガラスの器に1人ずつ盛られて出された時も、とても幸せな気分になったことをよく覚えています。その時にもやはり、赤と緑が数筋光っているのです。
そうめんは、あまり食べなかったように思います。真っ白で、どろーんとした感じでもありました。
赤や緑で争っていた頃は、麺の腰とか、麺本来のもっている美味しさが分かっていなかったんだな、と思い始めたのは、金魚印の冷麦が食卓に並び始めてからです(「今日は金魚印よー」というのが、うちの冷麦の合図でした)。
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高校生になった頃には、もううちの夏はずっと、腰のある冷麦一辺倒。冷麦はどうやら、三重県四日市市の大矢知が発祥の地らしく、うちの家族は(松阪)、当時スーパーでも手軽に、この金魚印が買えました。当時は青・赤・黒の金魚印の袋の色でちょっとしたランク分けがあって、黒はなかなかスーパーでは見つからなかったと記憶しています(この色ランク、スコッチのジョニー・ウォーカーとは違いますね、、、)。現在住んでいる京都では、冷麦って、少なくともスーパーではあまり見かけない気がします。気になったので、辞書で調べると、冷麦って、「細打ちに下うどんを冷水で冷やし」みたいな説明がされています。もしかすると、あまり全国的な食べ物ではないのかも?
その後、三重県を離れてからは確かに、冷麦を夏食べることはめっきり減りました。というか、地元に帰った時にしか、冷麦を買うことがなくなったからです。時々、冷麦のぷりっとした腰の強さが懐かしく、いくら美味しいつるつるのそうめんでも、麺自体の美味しさという点では、冷麦には勝てないな、と思っていた頃出会ったのが、小豆島の生そうめんです。
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小豆島は、オリーブ・オイルでも有名。オリーブ・オイルを加えた麺も、のどこし爽やか、すっきりです。小さい頃の緑のそうめんとは、断然違うはずですね。でも、あの緑も本当にお気に入りだったのです。
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出張帰りの恒例、お土産さがしの際、偶然岡山駅で見つけました。最初口にしたときは、目から鱗!ああ、そうめんにもこんなに腰が!
その後、どうしても小豆島に行きたくなり、讃岐うどんをまずは食べ、高松から車でフェリーに乗り、お店まで直接買いに(まるで、仕入れ)行ったことをもあります。最高のつるつる感と、うどんにも負けない腰をどうかご賞味あれ。でも、やっぱり冷麦も捨てがたい、、、、
カテゴリー:岡野八代
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