2010.12.18 Sat
チョ・スンウは,自分自身では舞台が好きと語りますが,舞台俳優だけでなく映画俳優としても活躍しています。もともと演劇の世界にいましたが,映画のオーディションを受けて映画デビューした作品がイム・グォンテク監督の「春香伝」。この作品が韓国映画で初めてカンヌ映画祭に招待され,一躍チョ・スンウは映画俳優として評価されました。私は,チョ・スンウの映画の作品は全部見ていますが,中でも初めてチョ・スンウに出会った,2004年(韓国では2003年)に公開された「ラブストーリー」(原題クラッシック)が最も好きです。本当にクラッシックな内容で,かわいいソン・イェジンとのかなえられない初恋が,せつなく涙を誘いました。どこか懐かしいような,人を恋する時の尊さを感じさせてくれるような作品でした。最初の場面で,スウォン(水原)の川で水遊びするチョ・スンウがソン・イェジンと出会います。その時のスンウさんの笑顔にノックアウトされまして,ここまで韓国にのめり込むはめになってしまいました。この作品は,「猟奇的な彼女」で有名なクァク・ジェヨン監督が撮りました。ユーモアがあり,ストーリー展開もおもしろく,たいへん長編ですが楽しめる作品です。
もう一つ,代表的な作品として「マラソン」をあげたいと思います。チョ・スンウは,自閉症のユン・チョウォンをやさしく演じています。この映画は実在する人物をもとにシナリオが書かれていて,実在の障害のある人を演じるのはほんとうに難しく,ナーバスになるのではないかと思われますが,画面からはチョ・スンウの性格のよさが伺われ,偏見や差別について考えさせられる作品です。「オアシス」のソル・ギョングやムン・ソリもそうですが,韓国の俳優はどうしてあんなにも愛らしく障害のある人を演じることができるのでしょう。
最後に付け加えておきたいのですが,何と言ってもチョ・スンウさんは舞台俳優なのです。2004年韓国で初演された「ジキル&ハイド」は圧巻でした。その頃まだ韓国に行ったことがなかった私は,韓国国内でテレビ放送された舞台を日本からパソコンで観ることができたのですが,そのパワフルな演技に圧倒され,ついに韓国まで舞台を観に行くようになります。善良なジキル博士と殺人者ハイド。どちらも同一人物ですが,人間の中にある善悪両方を一人二役で演じます。ジキルの善良さとハイドの空恐ろしさをあれほど巧みに繊細に演技するのですから,チョ・スンウの実力は本物だと確信します。演技もさることながら,歌が感情豊かで本当に上手いのです。「ラ・マンチャの男」の“The Impossible Dream”では韓国語が理解できないのにもかかわらず,思わず涙してしまいました。韓国ミュージカルは,地声で歌い上げる韓国俳優達のすばらしさも堪能することができます。ぜひ,一度韓国ミュージカルもご覧になってください。なお「ジキル&ハイド」「ラ・マンチャの男」は日本でも公演されました。
カテゴリー:WAN的韓流