エッセイ

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女の人が元気になる「銀座食堂」 (晩ご飯、なあに? 20)   桂容子

2012.08.30 Thu

 ずっと、紹介したかったお店があります。それは、とても素敵な心意気でできたお店なのです。

 先日、友人達を誘って、晩ご飯を食べに行ってきました。「銀座食堂に行かへん?」と誘ったら、居合わせた友人たちは、「行く、行く!」と大乗り気。金曜日の夜に行きました。

  ここは、豊中市の阪急庄内駅のすぐ近くにあります。庄内と言えば、関西の人なら、結構知っている人が多いのではないでしょうか。日本一、物価の安い商店街があることで有名なところです。それは、豊南市場。実は、私のお奨めの「銀座食堂」は、この豊南市場がすぐ目の前です。  http://ginza-shokudo.com/

 「庄内銀座」と呼ばれる通りにあるので、その名をつけたそうです。まぁ、地方には○○銀座と呼ばれる通りが必ずと言っていいほどありますが、そんな感じでしょうか。阪急では、各停しか止まらない小さな駅ですが、昔はさぞ賑わっただろう、と思える風情が残っています。

古い軒下に、新しい提灯

お店の外観

 お店の外観です。この斜め向いが豊南市場。6時になると市場は閉まり、こちらのお店が夜の部開店です。

  ここは、今から27年前に同じ大学を卒業した女性3人で設立した株式会社「情報の輪サービス」が経営しています。オープンは昨年の秋。この会社は、当時とても新しいコンセプトで女性の就業支援を目的に設立されたのですが、「銀座食堂」はそのミッションを実現しているお店です。行政の助成金を受けて、シングルマザーの雇用創出事業を行い、調理師免許を取れる事業を展開した後、それを生かせる場をつくりたいという目的で作られたのです。(そのあたりのことは、「働く女性の人権センター いこ☆る」の機関誌30号(http://homepage3.nifty.com/hatarakujosei/kikansi2-3/b21-30.html)で、紹介しています。ぜひ、お読みくださいね。

 6時のオープンを待ちかねて、開店と同時に私と友人たちは中に入りました。

 店内は、清潔で優しい感じ。カウンターと4人~6人が座れるテーブル席が一つ、というこぢんまりしたお店ですが、とても居心地が良いのです。

 そして、お料理はというと、と~っても、優しくて美味しい。写真撮るんでしょ! と友人に何度も注意されてしまいましたが、ついカメラを忘れて先にお箸が伸びる私です。友人たちと一緒に行ったのは正解でした。サラダもドレッシングの味が優しくて、ほんとに気持ちがいいのです。

メニューは、普通の洋風居酒屋のように多彩なラインナップですが、中身が全然違う。一つ一つ、丁寧に作られているので、居酒屋チェーン店の雑な味とは全く違う。

そして、ここの目玉商品、ハンバーグ。これは絶品です。

 

  メンバーの一人が中学生の娘さん連れで来ていたのですが、彼女が先に美味しいと平らげていくので、私たち大人も食べたくなって注文しました。「先に写真!」と友人に伸びかけたお箸を制止されて、撮りました。これはほんとうに美味! 私は実は、外食先で出されるハンバーグが苦手なのです。外で食べるハンバーグは、何か、ちょっと臭みというか独特のくせを感じて、最近は決して注文しないメニューの一つでした。でも、「銀座食堂」のハンバーグは、全く別物です。癖のないほんとうに素直な美味しさ。これなら、もっと食べたい、と思わせる良質なお料理です。

 やがて遅い時間になってくると、お客さんが来るわ来るわ、で、カウンターは大満員。結構、一人客も多いみたいですが、和やかになじんでいます。それはここで働く人たちの気さくでウエルカムな人柄の賜物のように思います。

 お値段も安い。ビールもワインもどんどん飲んじゃいました! こんなお店が家の近くにも欲しいなぁというのが一緒に行った皆の感想。私ももちろん、そう思います。もっと近かったら、毎日行くのに。

 おいしくて、あたたかくて、満点のお店です。

  面白い新しい企画もされていて、銀座食堂は、庄内の名物になっているようです。古い商店街に新しい空気を吹き込んでいるのです。

 元気で、しかも優しい女性達。これって、すごいでしょ? 元気なだけの女の人って、あまり傍にはいたくない。優しいだけの女の人って、物足りない。元気で優しいって、やっぱり最高でしょ?

 自分だけが元気なのではなく、他の人も元気にできる場です。女性だけが元気になるのでもなく、男の人たちも楽しそうに来ています。

 元気で、しかも優しい! 今これが一番最高のように感じるこの頃。疲れている私も、ここなら、ホッとできます。

 このお店がオープンする前から、大阪市内の本町に2軒、すでにビストロを経営している「情報の輪サービス」。http://www.grits.jp/

 オーナーメンバー3人のうち、1人は女性の就業支援、もう1人は飲食業、、そしてもう1人が社会教育、と、それぞれやりたいことがあったそうですが、その夢をかなえてしまいました。苦しいこともたくさんあったと思いますが、さわやかに、希望を捨てずに、女性同士の信頼関係を築いて仕事を続けてきたハンサム・ウーマンのシスターフッドが素晴らしいと思います。

カテゴリー:晩ごはん、なあに?

タグ: / 桂容子

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