上野研究室

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女縁を生きた女たち

2012.11.01 Thu

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 1980年代の初め、実態が知れないことから、上野千鶴子さんが、専業主婦を「暗黒大陸」と呼んだ。主婦たちの実態を研究、検証し、将来を予測した「女縁が世の中を変える~脱専業主婦のネットワーク」(日本経済新聞社 上野千鶴子著 1988年)の刊行から20年が経つ。
本書の構成は、第Ⅰ部に、前述の脱専業主婦のネットワーキングを再録、第Ⅱ部に「女縁のその後」を生きた女たちの記録、第Ⅲ部に「女縁の20年。これまでとこれから」となっている。
「女縁」ということばを造語したのは、上野さん。女縁を生きる女たちは、日本人の人間関係である血縁、地縁、社縁の三つのどれにも当てはまらない絆を求め、なおかつ、その縁は選べる縁(選択縁)とした。世の男たちは、社縁社会にとりこまれ、選べる縁の自由を持たない。そんな男たちを先行して「女縁」をエンジョイしている女たちを、「えんじょいすと(縁女イスト)」と命名した。
女縁は一種の秘密結社。ある種の選民意識がある。女縁の担い手、えんじょいすとは、時間資源、貨幣資源、わたくし源(わたく資源)の持ち主であり、「人持ち」である。20年経た今、さらなる高齢化を迎える女縁の女たちは、結婚した人もしなかった人も、「おひとりさま」になる。ほんとに困ったときに、どんな縁より力を発揮するという女縁。ぜひ、読み解きたい一冊である。

堀 紀美子








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