2012.12.16 Sun
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 人はだれでもひとりで生まれてくることはない。そしてひとりでは生きられない。
わたしは、瀬戸内寂聴さんの『ひとりでも生きられる』というタイトルの本を高校生の頃に読んだ。ひとりで生きられるというのは「独りでない」ことなのだと、つくづく思う。
おふたりの共通点を考えると、そこに行きつく。人生を、絶望も失望も味わって生きてきたからこそ、人のささやかな心遣いや優しさに感じ入り、喜びが生きる力を支えていく。
延々と繰り返される男と女の成れの果てを、身をもって経験するうちに、いつかまぼろしと覚るときがくるのだろう。男と女の情けにどこまで全身全霊を注ぎこむことができたか。その境が女の生き方を決めていくんだ、と上野さんの告白を読みながら受け取った。
女が、そして男が、対でいることを究めれば究めるほど、対は儚くもまぼろしと消えていく。まぼろしだからこそ、人はそれを求めるのか。生身で傷つき、のた打ち回った記憶が遠ざかっていく。
「おひとりさま」を生きるには、それまでの生きざまがものを言う。人と人の間で、わたしが大切と思う心をいつも耕して生きられたら・・、いつでも安らかに死ねるのかもしれない。
堀 紀美子
堀 紀美子
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