2013.09.17 Tue
出産離職も問題ですが、介護離職も問題です。高齢社会をよくする女性の会を中心に、以下の要望書を9/10に厚労省に提出しました。
わたしも賛同者の一人になりました。以下、ご報告です。
介護世代の男女から、仕事を辞めて介護に専念しようかと相談されるたびに、わたしは絶対辞めないほうがよい、とアドバイスします。要介護状態になった親は、自分のことでせいいっぱい。後に残される子どもの将来のことまで心配する余裕を失っています。仕事を辞めたら、年金も保険もないリスクの高い老後が待っています。自分の老後を心配するのは自分だけ。介護離職が美談になる時代はもう終わりにしたいものです。
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平成25年9月10日
厚生労働大臣 田 村 憲 久 様
介護離職ゼロをめざすための要望書 賛 同 者 一 同
私たちは、政府の社会保障制度改革国民会議報告書が冒頭の第1部で「女性、若者、高齢者、障害者などすべての人が働き続けられる社会」を提唱していることに心からの賛意を表します。つづいて「報告書」は、「今後親などの介護を理由として離職する人々が大幅に増加する」ことを懸念し、「介護休業・休暇を周知徹底する」こと、そのための「職場環境の整備を積極的に支援していく」必要を述べています。私たちは大いに期待しています。
すべての人があらゆるライフステージを通して働き続けるためには、育児と仕事の両立支援は必須であり、少子化対応としても待ったなしの政策です。同時に仕事と介護の両立は今後「報告書」が指摘するように多くの働き手が直面する問題となります。少子化時代の当事者が介護世代となってきたため、男女を問わずだれもが介護担当者にならざるを得ません。親の介護は、今多くの勤労者の不安材料となっています。
介護離職を余儀なくされる人々は、すでに40歳前後に達している場合が多く、ここで離職すると本人の老後の生活設計を危うくします。企業は長年育てた人材を失い、国や自治体、保険者は税や社会保険の担い手を失います。職場や社会と切り離された介護は、要介護高齢者にとっても幸せをもたらすとは限りません。
私たちは、介護離職ゼロをめざして、政府、自治体、企業、労働組合などに以下のような具体策を提案します。
一、企業に対して、育児における「くるみん」のような介護の環境整備の基準をつくり、政府の認証制度による普及・推進をはかること(政府)
一、仕事と介護の両立に向けて、介護が持つ特徴に照らし、さらに柔軟で多様な就労システムをつくること(政府、企業、労働組合)
一、介護保険制度の運用に際して、就労している家族介護者の増大を踏まえ、担当職員に仕事と介護両立支援について周知すること(政府、自治体、介護保険事業者)
ここに、それぞれの立場、団体で、仕事と介護の両立や地域福祉の推進に向けて活動している私たちが連名して、以上の政策の推進を要望します。
渥 美 由 喜 (東レ経営研究所研究部長)安 藤 哲 也 (にっぽん子育て応援団共同団長)岩 田 喜美枝 (公益財団法人21世紀職業財団会長)上 野 千鶴子 (認定NPO法人WAN理事長、東京大学名誉教授)上 原 喜 光 (一般社団法人全国介護者支援協議会会長)内 永 ゆか子 (J-win理事長、元IBM取締役執行役員)太 田 差惠子 (NPO法人パオッコ理事長)沖 藤 典 子 (ノンフィクション作家)勝 間 和 代 (経済ジャーナリスト)鎌 田 實 (医師・作家)佐 藤 博 樹 (東京大学大学院教授)袖 井 孝 子 (一般社団法人シニア社会学会会長)辻 哲 夫 (東京大学高齢社会総合研究機構特任教授)津 止 正 敏 (男性介護者と支援者の全国ネットワーク事務局長・立命舘大学院教授)樋 口 恵 子 (NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)堀 田 力(公益財団法人さわやか福祉財団理事長)山 極 清 子 ((株)wiwiw 社長執行役員、立教大学ビジネスデザイン研究科特任教授)山 田 昌 弘 (中央大学教授)吉 田 成 良 (高齢社会NGO連携協議会専務理事)(50音順)
事務局 NPO法人 高齢社会をよくする女性の会
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