上野千鶴子のサバイバル語録
上野千鶴子 著
文藝春秋 発行
2016年1月発行

待ってました!上野さん初の語録集。過去30年余の著作群から、140のちょっとずつ、厳選されたプレゼンツ・フォー・ユー。いまをあなたらしく生き抜くため、困難な状況を越えて生き残るため、ケンカの達人と呼ばれた上野さんからの贈りもの。真っ赤な表紙に桜色のオビ。「人生の勝負は、短期では決まらない」―逆風を快楽に変える140の金言集。これを活用しない手はない。

人生、仕事、恋愛・結婚、家族、ひとり、老後、女、そして未来のサバイバル語録。これさえあれば、と思いたいが、人の一生、これだけじゃないのが醍醐味ともいえる。さまざまな逆風が吹いてきて、どうにも立ち行かなくなる時もある。そんなときこそ、この真っ赤な本を手に取って、直感でページを開いてみる。パラパラとページをめくってみる。あなたが立ち止まったことの意味を、そんなあなたがひとりではないことを、きっと知ることになるだろう。ケンカの達人である上野さんは、言葉にできないことを言語化する達人でもある。

言葉には人を救うチカラがある。その見えないチカラは、次へと一歩を踏み出すエネルギーへと変換される。やがて、与えられるだけの一方通行のチカラは、あなたのなかに蓄えられ、あなたから発信されるチカラとなって社会のなかで動き出す。こうして、両方向、多方向の循環の渦が巻き起こる。

立ち行かなくなる時はチャンス。逃げないようにつかみ取りに行こう。

堀 紀美子

★『上野千鶴子のサバイバル語録』(上野千鶴子、文芸春秋)! 3/12(土)朝日新聞/朝刊、「天声人語」に引用されています。

★「もっと保育園を作れ」社会学者の上野千鶴子さんには数々の名言があると、前に小欄で書いた。この度、その名言集が出版され、驚くと同時に喜んだ。『上野千鶴子のサバイバル語録』。「いまを生きる女たちに、もしかしたら役に立つかもしれないことば」が並ぶ▼語録という性格上、文脈を離れて自由に引くことをお許し頂く。(冒頭より転載)★

一部分を引用された語録は、次の二つ!

114  男は言葉を生み、女はいのちを産む、ですって? とんでもない。今や女は、子どもを産み、コトバも産む。あとは、解釈を、いかに禁ずるかだ。急げ。解釈が追いつく前に。

115  コトバは、現実ではない。むしろ、コトバが現実をつくる。だとしたら、コトバによってつくられた「現実」には、「ほんとうらしいウソ」と「うそっぽいウソ」とがあるだけだ。すべての可能な「現実」は、この両極の間にある。

上野千鶴子のサバイバル語録

著者:上野 千鶴子

文藝春秋( 2016-01-29 )