新鮮で美しい花に囲まれて、女性が安心してくつろげるお店を作ろう。
そんな一人の女性の思いからうまれた「花屋/スナック」をご紹介しましょう。
まずは店内の様子をご覧ください。
ごはんを食べた後の花選びは女性にとって癒しの時間。花は一本から購入できます。
仕入れる花は市場に行った朝に直感で決めるそう。
店主の河村敏栄さんがイギリスやフランスで仕入れたアンティークの花瓶やガーデニングツールも販売しています。
◆どこにあるの? そのお店
お花とスナックのお店「MAG BY LOUISE」(マグ・バイ・ルイーズ)は、東京・代々木上原の駅からすぐ、活気のある商店街の一角にあります。
マンションの2階に看板も出さずにひっそりと営業していますから、知っている人にしかわかりません。
週末をメインに不定期に営業中です(花屋さんは3月から月・火13~19時も営業)。
お花部門は河村敏栄さんが担当し、主に週末に開講する花束やアレンジメント、リースなどのワークショップが中心で、スナック部門は、フードコーディネーターとしてファッション誌などで活躍する妹の太田静栄さんが、土曜の夜のスナック、日曜の朝のメルシー(朝食)を担当しています。
なんだかもう、誰も来るなと言っているような営業形態ですが、それは、「なるべくたくさんのお客さんに来てもらって、売り上げをばんばん上げて――」という方向とは一線を画しているからです。
お店のコンセプトが分かる人だけに来てほしい……こういうとやたら敷居が高そうですが、それは間違い。ドアを開けると気さくな関西弁がやさしく暖かく迎えてくれます。

毎週開催されているワークショップ

この日は春の花で花束を作る日

参加者の作品

参加者の作品
◆女の人が安心してお酒や食事が楽しめるように
仕事が終わって、ちょっとお酒を飲んで帰りたい、そんなときに女性がひとりで安心して入れるお店って、あんがい難しいものです。
となりに座った男性客の当たり外れに居心地は大きく左右されますからね。
お酒の店にいる女性はみんな自分にサービスしてくれると勘違いしているお客さんが紛れ込まないための「敷居の高さ」。
「MAG BY LOUISE」は、すべての女に開かれています!


日曜のモーニングメルシー。この日は熱々玉子サンドとハムサンド。使う野菜は秦野のやまやま農園から直送された無農薬野菜です。

スナックルイーズ一番人気のパクチーサラダと本日のごはんセット。
今週は石焼ビビンバと野菜スープです。
◆フェミニズムとの出会い
河村さんが上野千鶴子さんの本に出会ったのは、長年続けてきたメイクアップアーチストをやめて、花屋さんを開業しようと決心した時期でした。ロンドンと日本で遠距離結婚をしていた夫は、この転身に納得はするものの全く協力してくれず喧嘩が増えていきました。
自分の人生なのに、「許可」を求めたり、「ペコペコして」頼んだり――こんなんなら一人の方がましやと、離婚が頭をよぎるようになったころ、偶然出会ったのが上野千鶴子さんと湯山玲子さんの対談本『快楽上等!』でした。
この本を読んで、世界がガラガラと音を立てて崩壊、「こういうことだったのか!」「フェミニズムってかっこいい!」「こんなかっこいい女がいるのか!」「私もこうなりたい!」と、それまでまったくフェミニズムと無縁だった河村さんの世界観が一変しました。
夫とは離婚するよりも変わってもらいたいと、読みやすそうなフェミ本を見つけては渡しているそうです。
「きっついやろなあ」と河村さんは笑います。
上野さんの講演会でご本人とも知り合い、上野さんがお店にみえたときのおしゃべりからWANにもつながりました。
◆在日三世として生きる
河村さんは大阪の西成区に生まれ、「在日」ということに複雑な思いを抱いて成長しました。過酷な体験から日本人が大嫌いになってしまった在日一世の祖母。強いコンプレックスから自由になれない父。彼女自身も、「在日」であることを明かせば日本人の友達はどう思うだろうか、という強い怖れをもっていたと言います。美容師時代、勤め先に本名を知られるのが怖さに、美容師免許を提出できなかったり、結婚するときもなかなか打ち明けられなかったそうです。
フェミニズムとの出会いを通して、ようやく「在日」ということとも向き合うことができるようになりました。
「父にも、自分のコンプレックスの正体を知って自由になってもらいたくて、苦労しないで読めるやさしい本はないかと探しているところなんです」
◆お客さまの輪から生まれたブッククラブもスタート
お客さまとして出会ったフォトグラファーの長島有里枝さんと、読んできた本の感想を語り合う「ブッククラブ」が始まりました。長島さんは、社会学者で武蔵大学教授の千田有紀さんのもとでフェミニズム研究にも打ち込んでいた方です。
「敷居が高く難しい言葉も多い本でも理解してみたい」と思っていた河村さんと「大学で勉強したことを自分だけのものにするのはもったいない。生きづらいのを自分のせいにして苦しんでいる女性を、本は励ますんじゃないか」と思っていた長島さんが意気投合。ルイーズブッククラブが生まれました。
次回の開催は未定ですが、不定期でも続けていきたいそうです。
第1回目は、バージニア・ウルフの『自分だけの部屋』でした。
「本からかなり脱線して、自分たちの経験や怒りなどを、サンドイッチ食べながら話しました。とても楽しかったです。続けていけたらいいなあ~って思います」
「仕事や子育てにも忙しい世代が多いので、無理せず不定期にやっていくつもりです。2回目以降はHPやインスタを見ていただけるとありがたいです」
◆SNSは強い味方
こんな営業をやっててお客さんは来るのかしら、とつい心配してしまったら、「それが大丈夫なんですよ」と笑います。HPとブログだけに頼っていた時は、いつも集客にハラハラしていましたが、きれいな写真付きでインスタに情報を流すようにしたら、お客さんに困ることは無くなったというのです。
インスタで興味を持ってくれた方の中から、さらにブログに行ってより深くこのお店のポリシーを知り、共感してくれた方々が集まるようになり、さまざまな素敵な出会いも生まれています。ブッククラブもその一つなのでした。
近くにお住まいの方も、旅の途中で東京にいらした方も、どうぞ一度、MAG BY LOUISEにお立ち寄りください。「しーちゃん」のおいしいお料理と美しいお花に囲まれて、河村さんとのおしゃべりでホッとするひと時をすごしませんか。
また、ワークショップでお花の飾り方を学べば、自分の部屋が違って見えてきます。暮らしを大切に、心豊かに生きていきたいものです。(星野)

◆MAG BY LOUISE
〒151-0066 東京都渋谷区西原3-18-4 マンションアイ2B
PHONE 非公開
代々木上原駅から徒歩5分ほど。北口2の出口を降りてセブンイレブンの通りを行ったスーパー丸正の少しだけ先、向かいにあります。
http://www.louise-flower.com/home.html
◆営業時間
月・火13:00~19:00(3月から)
土曜 17:00~22:00
日曜 10:00~14:00
*スナックルイーズは土曜18:00~22:00、モーニングメルシーは日曜10:00~14:00のみ開店
◆お花のワークショップなどの申し込みは、HPからどうぞ
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