親は、自分が絶対に正しいと思いこんでいる。
自分の子どもだから、絶対にわかりあえると信じている。
でも、正しさはひとつじゃない。
わかりあえるのも、相手の気持ちを大事にしたときだけだ。それは他人同士のときと同じだ。
わたしは、親に支配されたくない。わたしは、わたしの道を行きたい。(本文より)
この物語の主人公・陽菜子は、中学受験をひかえた小学6年生。完璧主義の母親から、勉強も家の手伝いもするよういわれています。でも、兄はいそがしいからと、手伝いは免除。なぜか、兄の部活の洗濯物も、陽菜子がたたんでいます。
これって不公平じゃない?と思うけれど、うまく母親にいいかえせず、もやもやした気持ちをかかえてすごすある日、陽菜子はふしぎな女の子スージーと出会い、彼女の物と思わしき手帳を拾います。
そこに書かれていた文章に触れ、陽菜子は自分の「いいたいこと」を言葉にしはじめるのです。
母と娘の物語であるとともに、調子はいいけど我関せずの単身赴任の父親、自然に妹をあごで使うようになっている兄など、男性の姿もするどく描かれます。
主人公が自分のいいたいことを言えるようになることで、母親が変わり、周囲も変わっていく。世の中を変えるスタートは、そんな「ちょっとしたこと」なのかもしれない、と勇気をくれる作品です。
2018.10.09 Tue
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