書 名 生理ちゃん
著 者 小山 健
刊行日 2018年6月11日
出版社 KADOKAWA
定 価 1200円+税

 忘れもしない1999年夏。一緒に仕事をしていた後輩ちゃんの顔色が悪い。
「きょう生理、二日目なんですよ。わたし本当に重くって、超おなか痛い!」
 後輩ちゃんは、大きな声で言った。周りにぞろぞろいた男性スタッフのことなんか、ひとつも気にしていなかった。わたしはかなり動揺した。同時に、とてもすがすがしい気持ちにもなった。後輩ちゃんより一回り年上のわたしにとっての生理とは
「きょう、日の丸…」
「え?大丈夫?アノ日めんどうだよね…」
 などと、ひそひそささやく隠し事だったから。生理は、隠語で表現するのがマナーであり、忌み言葉、禁句のように扱われていたのだ。
 でもそれ違う。生理って当たり前のことだから、後輩ちゃんみたいにはっきり言えばいいんだ! と、自らの時代遅れっぷりに別れを告げたあの日から約二十年。まさかのキャラクター「生理ちゃん」登場である。
  ツキイチでドアをノックして生理ちゃんはやってくる。女性たちはそれぞれに
「もう1か月たったの?」「締め切り前だからカンベンしてよ」「え、いま困る」
 などと迎えるのだが、生理ちゃんはまったく容赦しない(だって生理だもの)。生理パンチ(生理痛)をワンツーでおみまいし、ノックダウンを奪う。極太の注射器でたっぷりと血を抜き取って(貧血)フラフラにさせる。そのうえ、眠気、だるさ、むくみ、と生理ちゃんは多彩な攻撃を浴びせてくる。ツキイチでひどい目にあう女性たちはそのまま、わたしでありあなたである。
 でも実は、生理ちゃんは私やあなたの最大の味方。
〈なんだよ 生理でイライラしてんのか〉とデリカシーのない言葉を浴びせる夫。スキあらば襲いかかろうと狙ってくる仕事相手。自分は生理が軽いからつらい状態の後輩を思いやることのできない先輩(女性)。こういったウザい相手には、鉄拳制裁=生理パンチ!をぶちかまし、しんどい生理のあれこれを強制的に共感させてくれるのだ。
 ああうらやましい。わたしもこんな風に生理ちゃんと毎月過ごし、つらさをオープンに共有してきたかった。女性の生きづらさや、女性と男性が共に理解しあうことの大切さ、男性のしんどさも生理ちゃんに教わりたかった。

 手に取ってほしい。生理ちゃんが毎月やってくる人も、もうお別れした人も、そもそも生理ちゃんとは無縁な人も。そして周りの人と読んでほしい。ぜひ男性にすすめてほしい。
 だって「生理ちゃん」は、イラストレーターの男の人が描いているんだもの。

■松本芽久美(まつもと めぐみ)
1967年富山県生まれ。
北日本放送ディレクター、リサーチャー。

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生理ちゃん

著者:小山 健

KADOKAWA( 2018-06-11 )