「未婚」、「少子化」、「アラサー」、「多様性」、「妙齢」、「不倫」。
これら6つのキーワードから結婚を考察する。
本書は、2016年1月に発行された『本当は結婚したくないのだ症候群』に
加筆・修正を加え文庫化されたものだ。
著者の北条かやさんは、1986年生まれ。
なんと、この再編集の企画が依頼されたとき、
自身の離婚問題の真っ最中だったという。
本書の第4章『結婚しない女たちがこの30年、主張してきたこと』のなかで、上野さんが登場する。
上野さんの著書、『セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方』や、
ご自身のことはめったに書かない上野さんが
「自分」と「周り」のことを書いた『ミッドナイト・コール』が引用されている。
『独身・上野千鶴子の、ちょっと強がりで自由奔放な書きぶりは、批判も浴びたと思う。
今の私ですら、ギョッとする表現がある。』(本文p.142)と、北条さんは記している。
結婚している自分の姿にあこがれを抱く20代くらいの女性たちは、
結婚のどこかに、現実離れした夢物語を描いているところがあるのかもしれない。
『王子様』という男性に対して、女性の描く幻想をドラマや漫画の世界でアシストする。
透きとおった夢など現実には存在しない。
人がひとり、裏も表もあり、濁りもあって、
さまざまな色や生々しいかさぶた、揺れる心を抱え、生きている。
綺麗事などないと知れば、「結婚」という制度の本質が見透かせれば、
翻弄されたり、すがったり、中傷されたり、勝ち負けを競ったりすることなんかない。
愛を探す人生より、愛のある日常の「わたし」の人生を送りたい。
これといって、とりとめのないありのままの「わたし」を愛せる人生を。
キモチは動く。これがごく自然なのだから。
統計や時間、わたしを縛るものに自ら、縛られにいくことなんかない。
だれも迷っている途中は不安なのだ。
その不安はどこからきているかを、冷静に考えてみたら、見えてくることがあるだろう。
目の前の人が、わたしを安心させてくれる人であるのなら、いっしょにいること。幸せでいること。
どうか、そうであってほしい。足元にある幸せ。
たいせつなものを、たいせつにして生きる人生を、いつも送っていられること。
結婚という制度に則るか、そうでなくてもいいかを選び取る自分の人生を生きる。
そしていつでも「別れられる」準備をしていることが、
しあわせを掴んで離さない奥義なのかもしれない。
■ 堀 紀美子 ■

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『王子様はどこへ消えた?
恋愛迷宮と婚活ブームの末路』
北条かや著
青春出版社(2019年5月発行)
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