キャリア
相談15 息子の就職が決まりません。キャリアセンターも責任を取ってくれません。
2014.02.05 Wed
大学4年生の一人息子ですが、いまだに就職が決まりません。大学のキャリアセンターに相談にいっていたのですがうまくいかず、学生相談室を紹介されました。息子はおとなしく、すこし線の細いところがありますが、まじめで優しい子です。ただコミュニケーションを取るのが苦手なようで、ゼミの教授からは、他の学生がいるとゼミ室に入ることができず、レポート発表もできなかったので、個人的に卒論指導をしたとお聞きしました。勉強はきちんとしていたので、単位も取れて卒業は確定しています。
学生相談室の臨床心理士の先生は、あと2か月で卒業してしまうので、今のうちに就労支援施設を紹介したいと言われました。私は小学校の教諭をしていますので、なかなか時間が取れず、息子と一緒に他の施設へ行くことも困難です。お話しを聞いていると、息子に何らかの神経的な問題があるように思っていらっしゃるようです。家ではごく普通に話しますし、学校での成績もよく、今まで何の問題もなく過ごしてきました。卒業間際になって、こんなことになるとは思いもよりませんでした。大学は卒業の決まっている学生の就職に責任を持つべきではないでしょうか。今後どんな方法があるのか、ご相談いたします。
回答
回答15:重原惇子(キャリアカウンセラー)
回答者:重原惇子
大学卒業目前となると、子育てもあと少しという気がしますね。でもその先の就職という最後の難関でお困りの様子、お母様のお気持ちお察しします。ところで、ご本人のお気持ちを聞かれたことはありますか?ゼミ室に入れない、発表ができない・・・ということは、今までの学生生活をどのように過ごしてこられたのか気になるところです。中学・高校時代のお友達とは交流が続いていますか?アルバイトはなさったのでしょうか?大学での部活、サークルには参加されましたか?そして今、就職が難しいという状況をどのように受け止めていらっしゃるのでしょう?
お母様からご覧になったら、優しくてとてもいい息子さんなのでしょうね。でも、同年代の方たちのふるまい、同年代の中での息子さんの行動をご覧になったことはありますか?少し引いて観ること、客観視することをお勧めします。もしかしたら、息子さんは他者との関係を結ぶということにつらさ、困難さを感じていらっしゃるかもしれません。
名称はさまざまですが、大学にはキャリアセンターと呼ばれる就職支援の部署があり、円滑な学生生活をサポートする学生相談室というセクションも設けられています。お子さんが学生相談室を紹介されたということは、就職を考える前に必要な支援があると判断されたのではないでしょうか。就職率を上げるために、学生を無理やり企業に押し込む大学もあるようですが、これが本人と企業のミスマッチとなり早期離職につながるケースもあります。大学の責任という意味では、就職につながる広い意味での支援と理解されてはいかがでしょう。
どうぞなんとか時間を捻出して、大学の学生相談室をお訪ねください。そこで、第三者から見た息子さんの様子を聞かせてもらいましょう。大勢の学生を見てきた専門家からの意見は傾聴に値すると思います。その上で、就労支援施設を紹介してもらうなど今後の方策を探られてはいかがですか?ご本人が無理なく社会に巣立っていかれる方法が見つかるのではないでしょうか。
回答者プロフィール
重原惇子
2級キャリア・コンサルティング技能士。キャリア・カウンセラー。女性、若年者を主な対象者として、現在は“若者サポートステーション”で、働きたくてもなかなか動きだせない若者たちの悩み、苦しみに向き合っています。年間のべ1000回のカウンセリングを通して感じたのは、個人の努力の限界と日本の雇用体制の矛盾。でも、まずは、目前の相談者が来た時より元気になって帰っていけるようなカウンセリングを心がける毎日です。