エッセイ

views

1697

第2回 女たちの物語―少女マンガの母娘・姉妹―

2012.01.08 Sun

母と娘は和解できる?

イグアナの娘 (小学館文庫)

著者/訳者:萩尾 望都

出版社:小学館( 2000-11-01 )

定価:

Amazon価格:¥ 555

文庫 ( ページ )

ISBN-10 : 4091913814

ISBN-13 : 9784091913814

amazonで購入

▲画像をクリックすると購入画面に入ります。ここから購入してWANを応援しよう!


horry 『イグアナの娘』の作者の萩尾望都さんは一番下に弟がいる三姉妹の真ん中。文藝別冊の特集は『イグアナの娘』について詳しく取り上げていて、作中に出てくるかわいい妹は萩尾さんの妹がモデルなんだよね。

yuki 妹さんへのインタビューで、ピンクと黄色のワンピースのエピソードは実際にあったことだと書かれていましたね。家の中での立ち位置も、萩尾さんは失敗の多い子というかんじで、リカちゃんはご自身がモデルなんですね。萩尾さんのお姉さんは『メッシュ』に出てくる姉妹の姉のように、やさしくて勉強もできる人。『イグアナの娘』のリカちゃんは実際は勉強もできて美人なわけで、萩尾さんのお姉さん像がここに入っている気がする。

horry 『イグアナの娘』ってハッピーエンドなのかな?最後にはリカちゃんがお母さんのことを理解するけど、お母さんは亡くなってしまっているし。

yuki 確かに、お母さんが亡くなっているからこそ思いやれたかんじですね。

horry リカちゃんも結婚して娘ができるんだけど、娘のことが可愛くないって悩んでたわけで、これでお母さんが亡くなってなかったら、すごく怖いことに…。

夢の中 悪夢の中 (白泉社文庫 み 2-19)

著者/訳者:三原順

出版社:白泉社( 2011-09-15 )

定価:

Amazon価格:¥ 720

文庫 ( ページ )

ISBN-10 : 4592886860

ISBN-13 : 9784592886860

amazonで購入

▲画像をクリックすると購入画面に入ります。ここから購入してWANを応援しよう!



yuki
 三原順さんも『夢の中 悪夢の中』という話で、母と娘の話を描いているんですよ。結局分かりあえなくて、娘は母が亡くなっても悲しめないし、結婚してできた息子は自分の母に似ていて愛すことができない。もう終わり方が恐ろしくて。

horry 母と娘の関係が敵対というよりも、乗り越えるべき存在というか…。お母さんを乗り越えないと次にいけないというように描かれている気がする。

あすか 私と母の関係って「友達親子」といわれる関係に近くて、似たような服を着て一緒に買い物をしにいく感じなので、世代的な違いがあるような気がする。よしながふみさんの『愛すべき娘たち』の最終話の祖母と母の話は萩尾さん達に近いと思うけど、第一話の母と娘の話で、母も一人の人間なんだっていうのは友達の関係に近いのかな。

horry お母さんを一人の独立した存在って見るのは、友達というよりも萩尾さん達の問題意識に近いんじゃないかな。お母さん像がある日くずれて、お母さんも一人の人間ってことに気づくわけだし。

yuki 確かに、『愛すべき娘たち』のお互いが独立したかんじの母と娘の関係はより現代的に見えるよね。だけど『イグアナの娘』から『愛すべき娘たち』まで、大本の母と娘の関係って変わっていないように思う。母と娘って、力をもっているのはやっぱり母親の方で、分かり合うっていうのは難しくて、 娘の方が「お母さんはきっとあのとき、こうで、こうだったから、こうしたのよね」っていうストーリーを作って自分を納得させるしかないという。だからこその、なんとか消化して血肉にして乗り越えていく存在。

horry 乗り越えて、理解できたとしても、許せるかどうかは分からない。ハッピーエンドにはなかなかなれない。そういう怖さが『イグアナの娘』にはあると思うな。

母という視点

horry 『イグアナの娘』って、リカちゃんはお母さんと顔が似ているんだよね。お母さんはそう言われるのが嫌だった。お母さんは自分に似てるからリカちゃんが嫌だったんじゃないかと思う。

yuki 男の人って割と、自分と似てる子がほしいとか、自分と似ているから可愛いってい言いませんか。私そういう発想無くて。

horry 言うかもー。

あすか 私は子供が生まれたら自分よりも可愛くなってくれたらいいなって思う。

horry お母さんは自分に似た子供の姿を見たくなかったのかもね。さっきの男の人の例と逆で「自分に似ていないから可愛い子」。それにお母さんとリカちゃんは、性格も似てたのかもしれないね。

yuki  絵柄からみるとお母さんもリカちゃんも美人系で、妹のマミちゃんは可愛い系。

horry そう考えるとこれはお母さんの自己嫌悪の話なのかな?

しんきらり (やまだ紫選集)

著者/訳者:やまだ 紫

出版社:小学館クリエイティブ( 2009-11-01 )

定価:

単行本 ( ページ )

ISBN-10 : 477803130X

ISBN-13 : 9784778031305

amazonで購入

▲画像をクリックすると購入画面に入ります。ここから購入してWANを応援しよう!


yuki お母さんの話というと、文庫の『イグアナの娘』に収録されている『午後の日射し』は主婦目線ですね。

horry お母さん目線のマンガってすごく少ないよね。私、やまだ紫が好きで、彼女の描いた『しんきらり』の妻の視点、お母さんの視点がすごくいいなと思う。お母さんだって、不安で寂しくて、抱きしめてあげるだけじゃなくって抱きしめられたいんだよね。

yuki 今は子育てマンガすごく多いですよね。

あすか 『ママはテンパリスト』とか。

horry レディース系では主婦ジャンルはたくさんあるけど、少女マンガのお母さん目線は少ないよね。

レディ!! (1) (秋田文庫)

著者/訳者:英 洋子

出版社:秋田書店( 2001-09 )

定価:

文庫 ( ページ )

ISBN-10 : 4253177042

ISBN-13 : 9784253177047

amazonで購入

▲画像をクリックすると購入画面に入ります。ここから購入してWANを応援しよう!



あすか
 『レディ』ってマンガがあるんですけど、これは継子モノなんです。イギリス人と日本人のハーフの女の子がヒロインで、母親が事故で亡くなって父親が別の女性と結婚するの。それで、その継母がすっごーく意地悪!初めて読んだのは私がまだ中学生くらいのときで、主人公の女の子に感情移入してたんだけど、最近読み返したら、今度は継母の方に感情移入してきて、主人公にイライラしてしちゃった。少女マンガの中でのファーカスの当て方もあるけど、読む時々で読者が感情移入するキャラクターも変化していくと思う。

yuki 確かに年を重ねるにつれ読むポイントって変わってくるよね。








カテゴリー:女同士のつながり / シリーズ

タグ: / 母娘関係 / 漫画 / 姉妹