様々な背景を持つ女性の生き方を舞台上に活写し、高い評価を得てきた劇作家・演出家の永井愛によるレアな男性三人芝居

『こんばんは、父さん』は、東日本大震災とそれに続く原発事故の記憶も生々しい2012年に初演されました。未曾有の事態の中で露わになった「まさか!」の、しかしよく考えてみれば「やっぱり!」だったニッポン。あれから12年、能登半島に大震災が起こり、一向に進まない復興や原発の再稼働、与党議員の裏金発覚による政局の混迷などを見るにつけ、この国の「変わらなさ」を日々突きつけられています。観客の皆様は、初演よりもいっそうのリアリティをもってご覧になることでしょう。

舞台は廃墟となった町工場。年代の異なる男三人がひょんなことから一堂に介し、それぞれの抜き差しならない状況が明らかになります。お互い崖っぷちに立ちながら、嘘をついたりはぐらかしたりする姿は滑稽そのもの。笑いの渦の中、三人の人生に影を落としてきた日本社会のひずみが浮かび上がります。

ちなみに永井愛には『こんにちは、母さん』というよく知られた作品があります。劇中、今は亡き「父さん」が、母の言葉によって鮮やかなイメージを結ぶのですが、『こんばんは、父さん』でも、息子の語りを通して、亡き「母さん」がまるで舞台上に現れたかのような錯覚を起こします。実際には姿を見せない唯一の女性登場人物が、観る人に強烈な印象を残すのも興味深いです。

閉館間近の俳優座劇場でお待ちしております。

■作・演出  永井愛
■出演    風間杜夫、萩原聖人、竪山隼太
■前売り開始  2024年10月19日(土)
■公演日程  2024年12月6日(金)~12月26日(木)
■会場  俳優座劇場
■チケット料金 一般8,000円
25歳以下4,000円、高校生以下1,000円(要証明書)
■公演URL  https://nitosha.com/nitosha48
※各種鑑賞サポートあり。
※東京以外に埼玉、滋賀、愛知、兵庫、長野、福島、山形でも公演あり。
【問合せ】二兎社 03-3991-8872(平日10時~18時)