2025年11月7日の衆議院予算委員会で高市首相がおこなった台湾有事に関する発言について、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」は、12日に説明と訂正を求めました。その声明をここに投稿し、共有していただきたく思います。




                              2025年11月12日

                    台湾有事に関する高市首相の発言について

                    平和を求め軍拡を許さない女たちの会
                    共同代表 田中優子共同代表 前田佳子



高市政権が発足しました。
いま私たちは、「台湾有事は日本有事である」という思い込みを捨てなければなりません。この思い込みに囚われ続ける限り、戦争への道を自ら開いてしまうことになります。この問題には意識を向けていきたいと思っています。

今般、2025年11月7日、同10日の衆議院予算委員会で、高市早苗首相は、立憲民主党の議員からの質問に対して、いわゆる台湾有事について「中国の台湾に対する武力行使があれば存立危機事態になり得る」と述べました。この発言は集団的自衛権行使の可能性を示唆するものと受け取られかねず、すぐさま中国からの抗議があったように、日中間の緊張を高める結果となっています。

そもそも現行法の「存立危機事態」とは、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と限定して定められています。
台湾は中国の一部であることは日本も承認しており、台湾への武力攻撃が「わが国と密接な関係にある『他国』に対する武力攻撃」でないことは明らかです。さらに、集団的自衛権の行使には、被攻撃国の「要請」が必要ですが、台湾が日本に直接、集団的自衛権の行使を要請する可能性は極めて低いと考えられます。これまでの日本の立場は、「中国が台湾に武力行使した際に米国が台湾を援護 すると、内政干渉ということで米国は中国からの反撃を受ける、そこで米国は日本に集団的自衛権の行使を要請する」という経過をたどると想定されていました。高市首相がこの過程を経ずに、台湾の被攻撃のみで日本が集団的自衛権の行使の可能性を考えているとは思われません。

以上のことから、高市首相はこれまでの日本の方針を積極的に踏み越えるつもりのものではないと私たちは考えています。
とはいえ、高市首相の今回の発言は、近隣諸国に誤解と不信を与え地域の緊張を高めるようなものであったことは間違いありません。あるいは、その根底に積極的な武力行使を辞さない心情を持っている首相との憶測も持たれかねません。

私たちは、中国を初めとする近隣諸国とは平和な外交を築きたいと、国内外に対して連帯を構築するための活動をしており、首相のこの軽率な発言は看過できません。

安全保障環境には慎重にならなければいけない状況にあることを理解され、このような軽率な発言はやめていただきたい。高市首相には、誤解を与えた発言について真摯に説明・訂正し、平和外交への明確な姿勢を改めて示すことを、強く要請します。


(注)なお、私たちの会は、中国への内政干渉に反対であることはもとより、集団的自衛権行使自体に反対の考えを持っていることを付記します。