WANでは、共通の分野で活動してきた、発足時期と構成メンバーの世代が異なるフェミニストの活動の交流・対話を通じて、活動の継承あるいは新たなつながりや展開の契機とすることを目的に、「WANフェミニズム活動交流会」という活動を始めました。その第2回として、次のとおり、ともに政治参画の分野で活動してこられた「女性を議会に無党派・市民派ネットワーク」と“FIFTYS PROJECT”の対話と交流の場をもちました
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●日 時:2025年11月1日(土)13:30~15:30
●会 場:武蔵野市立「かたらいの道」市民スペース
●参加者:22名
●プログラム:
 パネルトーク
 女性を議会に無党派・市民派ネットワーク 寺町みどり
 &
 FIFTYS PROJECT            能條桃子・鈴木なりさ
 モデレイター・コメンテイター      上野千鶴子
 交流会
●主 催:WANフェミニズム活動交流プロジェクト
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■パネルトークは、まず、「女性を議会に無党派・市民派ネットワーク」寺町みどりさんが、「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」(略称「む・しネット」。2000年発足)の目的、運営体制と活動を紹介された。
「む・しネット」は、
・「ジェンダーの視点を基本に、権威主義を排し、性にとらわれないでその人がその人らしく能力が発揮でき、個人として尊重される、公平・公正で平和な社会をめざし、憲法が掲げる「国民主権」の実現のために行動する。本ネットワークは、個人の主体性を第一とし、既存政党とは一線を画する無党派・市民派の女性を政策決定の場におくること」を目的とする、
・先を歩いた女があとから来る女たちにノウハウや経験を手渡していくためのネットワーク、
・会員と非会員、市民と議員の平場の関係を旨とし、スタッフは立候補制で意思決定は合議制、代表も総会も置かない。
・上野千鶴子さんの講演会、市民派議員アクションフォーラム「政治を変えるのは女(わたし)たち!」、「さまざまなマイノリティが生き延びるために」シンポジウムなどのイベントを開催し、日常活動として、年4回の議会ごとの「議員と市民の勉強会」、統一自治体選挙ごとの「選挙講座」を開催し、『む・しの音通信』を発信してきた。

 お話を受け、コメンテイター上野さんが、寺町みどりさん他『市民派議員になるための本 あなたが動けば社会が変わる』(初版/最新版).WAVE出版、2014に結実した「む・しネット」の無所属・市民派議員の育成・活動支援のポリシーとノウハウの、高い質と実践性を指摘された。

■次いで、FIFTYS PROJECT(2022年~)能條桃子さんが、団体の紹介、活動報告、2027年4月統一地方選挙での目標と計画、そして新規の取組「わたしたちのバトン基金」について報告された。
・FIFTYS PROJECT設立の経緯、
・寺町みどりさん他『市民派議員になるための本 あなたが動けば社会が変わる』(最新版)との出会い―今回、寺町みどりさんとの対話を希望した理由、
・FIFTYS PROJECTは、政治分野のジェンダーギャップを、わたしたちの世代で解消すべく、20代・30代の女性、ノンバイナリー、Xジェンダーの人々に立候補を呼びかけ、繋ぎ、一緒に支援するムーブメント。
・ジェンダー平等に賛同する人を応援するために、「賛同項目」を設定。
―活動―
・候補者支援の活動
選挙準備CAMPや勉強会の開催、広報の支援、ピアサポートネットワークの構築など
・候補者・支援者となる人たちと繋がり、候補者・支援者を増やす活動として、  地域ベースまたはイシューベースのコミュニティづくり、オーガナイザー育成講座の開催、ジェンダー平等について学ぶ機会の提供(FIFTYS PROJECTゼミ)、立候補相談会の開催(FIFTYS PROJECT meeting)開催など
・議員になったあと、ともにジェンダー平等実現をめざす活動として、議会報告会の開催、議員定例会の開催など
・FIFTYS PROJECTの持続可能性を高めるための活動として、マンスリーサポーター制度、助成金の申請・活用など
・目標
2027年4月統一地方選挙で100人を支援する
ー目標達成に向けた新たな取り組み―
立候補予定者の政治活動への資金支援「わたしたちのバトン基金」の発足

 お話を受け、コメンテイター上野千鶴子さんから、FIFTYS PROJECTの活動の秀逸性として、①女性ならだれでもよいわけではない―賛同項目を掲げ、政策協議を交わすこととしたこと、②活動を持続可能なものとするために有償化したこと、③議員になった人を孤立させないためにピアサポートのしくみをつくったことを指摘された。また、寺町みどりさんからは、踏み絵としては有用でも実際の選挙及び議員活動ではジェンダー平等政策(のみ)では闘えないことや、支援した人が当選後、約束に反する選択をされることは一定程度起こることについてコメントがあり、む・しネット/FIFTYS PROJECT、互いの活動への共感とリスペクトを交わしてトークを締めくくりました。

 パネルトークを受けた交流会では、参加者全員が一人ひとり、ここに参加した理由、立候補する・支援するをはじめ、パネルトークに共振した自分・触発された自分を表明し、語り合いました。
 我(個人)と我々(市民)の課題の統合が人を突き動かしエンパワーしていくことや、ここからまた新たなつながりや展開が生まれるに違いないことを確信するひとときとなりました。