2014.05.21 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.在日韓国人コミュニティの中の「お見合いおばさん」と、彼女に関わる人々が鮮やかに描かれている。重苦しい本では決してないが、自分の無自覚な加害に目を向けさせられる読書体験となった。「在日」ということばから連想するのは、在日韓国人、中国人といった属性が明らかになっている人たちへの差別の有無だった。しかし、そもそも「在日」であることや二世・三世であることを隠して生活する人たちがどうやら、こんなにもいるらしい。それは「隠して」いるというだけではない。この社会で、彼らは間違いなく、「隠す」ことを選ばされてもいる。
普段、どちらかというと「世論」とか、社会の向かう大きな方向性に違和感を持ち、社会の中枢ではないという気分で生きてきた。でもその自分がある人から見たとき、間違いなく「日本人」という「マジョリティ」だった。マジョリティであるだけで、差別に加担している、その一員なのだった。何も言わない、何もしていなくても、ひとを傷つけて生きていることがある。そしてもしあなたが「日本社会における日本人」というマジョリティでないとしても、何らかの場では何らかのマジョリティであり、マイノリティを圧迫しているのかもしれない。そのことに気づこうとする回路を持ち続けるということを、この本の中に浮かんでは消えたたくさんの人々は、教えてくれた気がする。(小林杏)
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