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"思い出の一本" 映画評『めぐりあう時間たち』 みるとるみ

2010.10.12 Tue

<div class="old cf"><p>I felt it was the beginning of happiness, but it WAS happiness.<br /> -幸せの始まりだと思っていたものは、幸せそのものだった<br /> As it is, -それを、そのまま<br /> to look it in the face -それを目の当たりにし<br /> to know -それを知り<br /> to accept -それを受け入れ<br /> and put it away -そして、それから離れてゆく<br /> The morning I left him, I felt free. -彼の元を去った朝、私は自由だった</p><p>2003年6月、ひとりで映画を見終わった直後、銀座のブォーノブォーノで黒オリーブと白身魚のタイム風味スパゲティー(なぜこんなに明確に描写できるかというと、あまりにおいしかったからダイアリーに書きこんだんです)を食べながら、ダイアリーに走り書きした文章。<br /> 英語は、多分映画でニコル・キッドマンが語った言葉(思い出しながら買いたから、正しくないかもしれない)。でも、「As it is」という言葉が何度も登場したのは憶えている。40代を迎えたばかりだった私には、圧倒的な映画だった。以下、そのときの走り書き散文をまとめてみ る。</p><p>ニコル演ずるヴァージニア・ウルフは、夫に愛されながらも精神を病んでいく。どんなに満たされようとも、満たされることのない虚空。まだ若かった 頃、無限の可能性があると信じていた。人生の幸福は始まったばかりだと思っていたけれど、それが幸福そのものだった。そして彼女は、彼の元を永遠に去る。<br /> 平凡な主婦であるローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)は、2人目の子供を身ごもっているのに、無限の可能性がいつしか霧のように消え去ってしまった ことに、今の自分のあまりの平凡さに倦み、服毒自殺を図ろうとする。けれど結局果たせない。隣人に預けた息子を迎えにいく。霧が晴れて、現実というものが 容赦なく眼前に差し出されたとき、彼女は反射的にそれを受け入れて生きていく。<br /> そして現代に生きるクラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)は、才能を使い果たしてエイズに罹った元恋人を、明るく支えようとする。けれど、結局彼は飛び降り自殺してしまう。</p><p>As it is を受け入れること、「そのままの自分」と折り合いをつけることは、難しい。「無限の可能性」という言葉から目を逸らすようになる40代に、それがうまくできた人が、豊かに残りの人生を送れる、と聞いたことがある。<br /> それでもなお、風が少し涼しすぎる夜は、過ぎ去った時間に思いが流れていく。The hours。これまで、自分は何をしていたんだろう。自分が死んだ後、何が残るのだろう。ヴァージニア・ウルフのような小説家はいい。作品が残るから。そ うでない人は、どうしたらよいのだろう。<br /> そんなことを考えさせる、深い映画だ。</p><p>アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.</p><p>みるとるみ/家電メーカーからPEファンドに転身を図ったあと、モノやカネよりヒトが好きなことに気付いて独立、コンサル業へ。今や仕事はそこそ こ、自称エッセイストとしてブログ書きながら、自由に機嫌よく生きることが人生のプライオリティー。 ブログ  http://miltlumi.exblog.jp/</p><p><input name="amazon_small_image" type="hidden" value="http://ecx.images-amazon.com/images/I/31NJ3NVTJXL._SL75_.jpg" /><br /> <input name="amazon_medium_image" type="hidden" value="http://ecx.images-amazon.com/images/I/31NJ3NVTJXL._SL160_.jpg" /><br /> <input name="amazon_large_image" type="hidden" value="http://ecx.images-amazon.com/images/I/31NJ3NVTJXL.jpg" /><br /> <input name="amazon_title" type="hidden" value="めぐりあう時間たち [DVD]" /><br /> <input name="amazon_author" type="hidden" value="" /><br /> <input name="amazon_manufacturer" type="hidden" value="アスミック・エース" /><br /> <input name="amazon_publidation_date" type="hidden" value="" /><br /> <input name="amazon_url" type="hidden" value="http://www.amazon.co.jp/%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A%E3%81%82%E3%81%86%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%9F%E3%81%A1-DVD-%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/B000BM6HM2%3FSubscriptionId%3DAKIAIVGUGFNUCXEGTYGA%26tag%3Dpokemonnohiro-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3DB000BM6HM2" /></p></div>






カテゴリー:新作映画評・エッセイ / DVD紹介

タグ:仕事・雇用 / 非婚・結婚・離婚 / 映画 / ジェンダー / 働く女 / DVD / 主婦(専業主婦・兼業主婦) / アカデミー賞 / みるとるみ / 女と映画

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