「足元だけを見つめて歩いている生徒たちが、
その視線を上げ、はるかかなたを見渡し、
自分の立っている場所と自分の進もうとしている方角を
見据えたうえでその歩みを進めてほしい。
この取り組みはそんな思いから始まりました。」(はじめに)
『未来コンパス』は、中学生、高校生に向けて、
社会、地球、文化、芸術などのテーマに沿って開講された
17名の先生による講義内容が収録されている。
学科ごとの教科書では教えてくれない、
覚えること、記憶することだけでは拡がらない
深い知への探求心を呼び覚ます。
ヒトがヒトとして進化してきた過程を知れば、
ヒトには元来備わっている、
ひとり一人が宿している『知の種』があると感じる。
蒔き時、環境は、生徒たちそれぞれが、
それぞれのベストタイミングを知っている。
先生たちは、そのタイミングがいつくるか、
そしてどこで芽が出るかを待ちながら、
ときにたくさんの声をかけ、
また、ときに語らずに待ちながら伴走し、
いつかバトンを手渡していく。
「先生方の一言ひとことが、生徒たちにとって
そのはるかかなたを指し示す『未来コンパス』に
なっていることを確信します。」(はじめに)
わたしたちは、よりよく、
自分自身のもっている『知の種』を育てながら、
心底ときめき、人として人の役に立つ生を生きていく。
先に生きる人の背中を追いながら、そして追い越しながら。
■ 堀 紀美子 ■
2018.05.06 Sun