こころ
相談64:会社でのセクハラ・人間関係に悩んでいます。
2017.05.10 Wed
私は、大学卒業後、東京に本社があるメーカー系ITベンダーに正社員として就職しました。2年程前に地元近くの支社に転勤を希望し、現在はそちらで営業職として働いています。そこでのセクハラ、人間関係に悩みメールさせていただいています。
一年半ほど前から、同じ部署の男性(Aさん34歳)とお付き合いをしていました。二人の関係は周りに知られないようにと、市内で2人で歩いたりはあまりしないようにしていました。しかしながら、独身同士ということで、転勤当初から「付き合いなよ」「結婚すればいい」と、同僚やお客やパートナー企業の人などから散々言われてきました。これはセクハラなのですが、好意を持っている相手とのことだったので、特段気にせず過ごしていました。
昨年の年末辺りから、Aさんとの関係が崩れ始めました。他の女性の影を感じたり、貸したお金が帰ってこないなどと不審感が募りました。年末にAさんの実家へ帰省しようと言われていましたが、行くことができなかったことが大きいのかなと思っていましたが、私は元々弄ぶ対象だったようです。相手の携帯を見てしまったところ、複数の女性との交際が発覚。また、私を隠し撮りしたパジャマ姿が同じ支社の同僚へ発信されて、わたしより〇〇とのエッチの方が気持ちいい、胸がないなどと、私が同僚との笑いの対象とされていました。社内で他の女性にも手を出していたようです。
それを見てしまい、連休明けから会社に行くことが今とても辛く感じています。今後もこれまでと同じように、無神経に「結婚すればいい」などと言われることを想像するだけで、悲しみがこみ上げます。
また、他の社内の男性からも「家にいっていい?」などと言われることも増えた気がします。もちろん断りますが、バカにされた存在なんだと言うことがわかります。単に、「悪い男に引っかかった。今後気をつけよう」ということでやりすごすにも、心の力がいります。また、会社でも、誰に相談して良いのかわかりません。
転職を考えるべきとも思うのですが、今は自信を失っており、勇気がでません。また、悔しい気持ちもあります。仕事は充実しており、また正社員という安定を手放すことを躊躇しております。助けてください。(長野市、30歳、営業職)
回答
回答64:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)
相談内容を二つに分けて考えましょうね。一つは、職場でのセクハラまがいの言動の同僚たちのこと。どうも職場環境がよくないようですね。あなたご自身がこれはセクハラとおっしゃっておられますし、たしかに個人的な事項を言挙げするのは、はしたないですよね。
しかしこれは、あなたがどのような人であれ、何をしておらようとも、関係なく女性への侮蔑であることをしっかりこころに止めておいてください。つまりは女性であれば、誰だって侮蔑の対象になるということです。どうかご自分だから言われたと強くお考えにならないでください。もちろん個人に対して言われていますが、あまりに個別的に受け取ると、自分のほうを責めてしまいがちになります。ここを確信できれば、スルリとかわして「そんなこと言えばセクハラになりますよ」と警告しやすくなりませんでしょうか。こころの弱っておられるあなたに、できないことを今お薦めしているのはわかっていますので、ぜひこころに留めておいてください。。
それと恋愛の破たんに関して。あなたは、「ダメな男性」を選んでしまわれたのですね。人は良く付き合ってみないと、どんな人かわかりません。表面的にやさしかったとか、じぶんを褒めて、受け入れてくれるとかで、こころが傾きます。それはわかるのですが、彼との関係でそうとうに自信をなくされたうえに「ダメな男性」のそのダメさをあまり言い募ると、そのような人を選んだ「自分」も同時に低下してしまいません?
少々突き放して、あなたのダメだったところも客観的にしっかりチェックしてみてください。これからも多々、生きる上での困難が出てくるでしょう。その都度どこかに相談しても、実は率直に申して、回答者にも適切な助言はないのです。この経験をなんとか生かせるように、今は耐えていただくしかないように思います。ただただ、耐えるしかないことは人生によくあります。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。
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