日本中で250以上とも350以上とも言われる数のイベントやアクションが実施された日本版「女性の休日」。2026年3月6日から8日を中心に、1週間「女性の休日Week」として開催されました。期間中、WANメンバーも様々なアクションを起こしました。本記事では、フェミニズム入門塾の第3期受講生や修了生が各地で開催したイベントを中心に報告します。
 起点となったのは、2025年12月18日開催のフェミニズム入門塾第3期 自主企画「やっちゃう?やっちゃえ!『女性の休日』」です(詳細はこちら)。映画の感想共有や意見交換に刺激を受け、参加者の一部が「自分に出来ることはあるだろうか?」と考え始めました。後日、入門塾Slack内に「女性の休日プロジェクトWAN内情報共有用」チャンネルが発足し、第3期の受講生たちを中心に、1期、2期やフェミラボの受講生、WANの理事等50名強が参加しました。このチャンネルを活用して、メンバー間での情報交換を行うとともに、励ましのコミュニケーションでお互いの背中を押し、講座での学びを様々な形のアクションにつなげました。

【イベント報告1】和歌山でもやっちゃえ!『知ってる?アイスランドの「女性の休日」〜みんなで語ろう〜』

 入門塾第3期受講生の岡田です。映画「女性の休日」を知り、この映画を通して現状を変える糸口が掴めないものかと思い、気持ちだけで自主上映に向けて動いたところ、素晴らしい出会いに恵まれ、『日本版「女性の休日」プロジェクト』(以下「プロジェクト」)に『わかやま「女性の休日」を語ろう会』として参加することができました。
 イベントは、3月6日(金)午前・午後の2部制で、それぞれ上映会&お話し会を開催。プロジェクトの全国リレートークにも参加しました。
全面的にご尽力くださったのは、和歌山県で「gender equality・empowerment・encourage」、3つのeをキーワードに、18年に渡って、誰もが平等で自分らしく生きられる社会づくりに寄与してきた、地域密着型のNPO法人和歌山eかんぱにいの皆様です。

 今回は、友人招待のみのクローズドイベントだったため広報活動はできませんでしたが、地域に根ざした活動をされてきたeかんぱにいの皆様のおかげで、参加者の幅は非常に広いものとなりました。年齢は20代〜80代まで、長年ジェンダーに関わる仕事に携わり続けてきたベテランの方々や地方公共団体などからも、男女問わず満員御礼でご参加をいただき、お話し会は白熱。特に印象的だったのは、映画を観てまず悔しさを吐露してくださった、リブを経験し、闘い続けて来た先輩方からの所感です。「70年代時点では世界中で大きな差は無かったはずなのに、(日本のGGI118位は)悔しい。リブの時期に連帯出来ていれば。」頭で考え、知識として知っていた以上に歴史と自分が感情でつながったような、不思議な感覚でした。また、不払い労働について、男性から「共働き社会においても、女性自身が女性性を内面化させられることによって、家事労働等の質を上げ過ぎている側面もあるのでは。」と指摘があり、語り合うことで内面化された規範の根深さを改めて感じるところとなりました。
 今回のプロジェクトを通し、映画同様、世代や立場を超えて連帯することの力強さ、楽しさを併せて経験することができ、クローズドだったことがとてつもなく勿体なかった、と感じています。素晴らしい「休日」と語らいの場を共に作ってくださった皆様に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

【イベント報告2】女性の休日プロジェクト 仙台ネットワーク

 入門塾第3期とAC第2期受講生で、Worldwide WANのボランティアでもあるMidoriと申します。11月の入門塾で「女性の休日プロジェクト」の動きを知り、元同僚でフェミ活仲間のHさんと「私たちも仙台で何かやろう!」と、「女性の休日プロジェクト仙台」という団体を立ち上げました。さらに、考えを同じくする地元のジェンダー平等推進や女性支援団体の皆さんと繋がるため、期間限定の「女性の休日プロジェクト仙台ネットワーク」を2026年1月に設立しました。趣意書を作成し、ネットワークに賛同して下さる団体を口コミで広げ、最終的に次の11の団体に賛同・連携していただきました。(*略称:ノルウェーに学ぶ会、生理用品無料設置要求実行委員会仙台チャプター、リプロネットみやぎ、ハーティ仙台、イコールネット仙台、新日本婦人の会宮城県本部、宮城県労働組合総連合女性部、I女性会議宮城、女性の休日を考える会@仙台、3・8国際女性デー実行委員会、国際女性デー宮城県実行委員会)。

 3月6日当日は、各団体から代表者2~6名ずつに集まっていただき、男女共同参画推進センター エル・ソーラ仙台にてイベントを開催しました。前半は皆で映画「女性の休日」を鑑賞し、後半は団体混合の小グループに分かれて交流会を行いました。交流会では、自己紹介と映画の感想シェアから始め、映画を見て自分たちの団体や個人でもやってみたいと思ったこと、インスパイアされたことなどを、初めは実現可能性を度外視して自由に語り、後半は何であれば、どうすればできるかということを議論しました。最後に様々な案を全体に共有して、午前の部の終了となりました。

 3月6日午後はHさんが中心となって「ジェンダーのいずいを話すお茶会 3.6 Women’s Café Sendai」を実施しました。いずいとは、宮城や仙台の言葉で「違和感がある」「不快」などの意味です。こちらの企画はInstagramで広報したこともあり、初めてつながる若い世代の個人参加が多くなりました。近郊に住むフェミ塾の仲間も参加してくれました。20人規模の安全なスペースで、手作りジェンダーかるたとデータで見る仙台のジェンダーギャップ、もやもやフリートーク、先輩アクティビストからのお話、若手女性のお悩み相談、プラカードづくりなどを行いました。夕方には、女性の休日プロジェクトの全国リレートークにオンラインで参加しました。

 いずれのイベントも、新たな仲間と繋がれた喜びや、自分たちも自主上映会を開催したいなど、非常にポジティブな感想が寄せられています。WANの後援をはじめ、様々な形で協力して下さった方々にこの場を借りて御礼申し上げます。今後は新たな繋がりを維持・発展できるような取組を行っていきたいと思います。

【イベント報告3】講演会「『女性の休日』 なぜ?どうして?アイスランドのジェンダー平等事情」

 入門塾第3期受講生のオールセンです。アイスランド映画の『女性の休日』が日本各地の映画館、また自主上映で上映され、多くの人が感動し、勇気をもらっている中で、映画を観た私が思ったのは、まずは1975年にアイスランドはどのような経緯でここまで来ていたのだろうかということが知りたいということでした。1960-70年代はデンマークも同じ時代にレッドストッキング運動など活発な、あるいは過激な活動があった時期で、個人的にも最も関心のある時代です。映画が素晴らしいというだけではなく、ぜひ、『女性の休日』の背景を知りたい、それはまた日本のヒントにもなるのではないかという思いがむくむくと沸き上がり、何もない中で「やっちゃう? やっちゃおう!」と思ったのが、この企画の出発点でした。
 2月21日は土曜日の夜にもかかわらず、講演会イベント「『女性の休日』 なぜ?どうして?アイスランドのジェンダー平等事情」に会場16名(うち2名は男性)、Zoom 35名の51名と多くの方にご参加いただきました。
 まずは、講師の山田慎太郎氏(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部 次世代人文学開発センター特任研究員専門:アイスランド地域研究・デジタル人文学)が準備した30枚以上ものスライドに沿って、約1時間にわたり、この映画の背景についての素晴らしいレクチャーをしていただきました。

<レクチャーの内容>
・「女性の休日」のアウトライン。90%の女性が職場や家事・育児を放棄、人口の1割にあたる25000人がレイキャビクの広場の集会に参加。
・このストライキでの女性の要求は、女性たちが稼得労働(労働市場)における地位や賃金の低さの是正とともに、不稼得労働(家事・育児労働、ケア労働)について男性にそれを認識させることであった。
・「女性の休日」実行までの経緯。1907年のタラ加工工場における女性労働者のストライキなどから始まり、女性たちは経験を積み上げてきていた。
・現在のアイスランドは16年間ジェンダー・ギャップ指数が世界1位であるが、実際にはそれは主に政治や教育の分野が牽引しているのであり、労働賃金や管理職といった企業活動、経済活動においては実はまだまだ。デンマークも同様だが、ケア労働に従事する女性が多く、そうした労働市場における賃金が相対的に低いことが理由のひとつだそう。数値は改善しているものの、女性の要求内容については1975年当時と変わっていない。
・また、半数の子どもが生後18か月まで保育園に預けることができないことから、出産は女性にとってキャリアを中断とともに、収入が減る傾向がある。
・その他の現在の問題点としては、暴力や性暴力、またその低年齢化があり、こうした点におけるジェンダーマイノリティーの人々との連携(あるいはそれについての反発)などがある。
・アイスランドがジェンダー先進国であることは間違いがないが(またアイスランドもそれを政治的・外交的にアピールしている)、一直線に進んできたわけではなく、行きつ戻りつしつつ、徐々に構築してきたものであること、「女性のストライキ」の先にあるのは、誰にとっても生きやすい社会であること。また、アイスランドを理想化するのではなく、日本もこれまで日本の女性が闘い、積み上げてきたものに着目しつつ、ジェンダー平等を進めていくことが大切ではないか。
その後、司会者(私)からの質問、参加者からの質疑応答が行われました。山田さんの講演中は非常に静かで、皆さんどう思って聴いているのかなとちょっと心配しておりましたが、質疑応答が始まると質問が途切れることなく、むしろすべての質問に時間切れで答えることができないほどで、どれだけ皆さんが真剣に聴いて下さっていたのかと、私は胸が熱くなりました。

 参加者の皆さんからは、あまり縁がなかったアイスランドという国のジェンダー事情について、専門家の話を聞くことでより多角的にとらえる機会となり、大変興味深かったと異口同音におっしゃっていただきました。これまで「理想化」していた北欧アイスランドの現実、例えば出産ペナルティやいまだに小さくない賃金格差などについて驚きの声もありました。また労使関係(日本と違い、アイスランドは北欧型の産業・職種別労働組合)についての関心やDV問題についての関心なども寄せられました。
 一部山田さんから紹介のあった日本の女性の闘いについても参加者は改めて認識し、会場の参加者は、日本でも「きっとやれる」という明るい希望を共有しつつ、拍手とともに、あっという間の2時間の講演会は終了しました。
 北欧は、ジェンダーだけでなく、政治や外交、経済などでも他の地域とは違う様々なアプローチがあります。研究者の方に専門的な話をしていただくという今回のコンセプトは初の試みでしたが、また、次の機会を作って、ジェンダープラスアルファの面白い学びの場を続けていけたらと思っております。
 最後になりますが、山田慎太郎さん、参加者の皆さん、一緒に企画・運営してくださった皆さん、相談に乗ってくださった北欧関係の先生方、誠にありがとうございました。

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以上が受講生主催のイベント報告となります。
 12月のイベントの際、映画の中で歌われていたようなテーマソングがあったらいいねという話があり、そこから応援ソング「道をつくる」も生まれました。とても力強く、心揺さぶられる曲です。是非、作詞作曲の四方天さんのメッセージとともにお聞きください。こちらの曲は別の受講生のサポートで楽譜化もされ、全国のアクションで歌われています。
応援ソング「道をつくる」に関する記事と動画はこちらでご覧いただけます。 

 他にも、3月6日当日、新宿駅前を中心に、各地のイベントやアクションに駆けつけ、全国一斉アクションを盛り上げてくれたWAN入門塾生や修了生がたくさんいらっしゃいました! 紙幅の関係で全てを紹介できませんが、一人一人のメンバーが様々な形で自分に出来ることを考え、行動を起こした結果、とても大きな動きになったのだと思っています。

新宿アクションに関する記事も是非ご一読下さい。
■【見直しURL・ポスデモ・マーチ・メッセージ 】女性の休日アクション20260306@新宿駅 東南口 
https://wan.or.jp/article/show/12390
■女性の休日0306新宿アクション会場の周辺から 参加者の声と上野千鶴子さんスピーチ_5分動画
https://wan.or.jp/article/show/12394

社会はすぐには変化しないかもしれませんが、希望を感じられる一連の出来事でした。