
2020年2月19日「性差別にNO! 差別を認めない聖マリアンナ医科大学に抗議する緊急案内集会」にて
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2020年3月6日、東京医大に対して、初めての判決が出ました。
この裁判は、特定適格消費者団体のNPO法人「消費者機構日本」が、「消費者の財産的被害の集団的な回復のため の民事の裁判手続の特例に関する法律」(以下「特例法」といいます)に基づく「共通義務訴訟」として起こしたものです。
特例法は、内閣総理大臣が認定した「特定的確消費者団体」が、消費者被害を集団的に回復するために「被害回復裁判手続」を行うことができるとしました。その一段階目がこの共通義務確認訴訟です。
この裁判が確定すると、第二段階目として、個別の消費者(受験生)が債権届出をすることで事業者(東京医大)の個別消費者に対する支払義務が確定する「対象債権の確定手続」が行われます。
東京地裁は、この度の共通義務確認訴訟の判決において、東京医大に対し、2017年度2018年年度に東京医大を不合格となった全ての女性受験生、浪人受験生に受験料、送金手数料及び出願書類郵送料(並びに消費者機構日本に支払う報酬及び費用)を支払う義務を認めました。
他方、消費者機構日本が請求していた受験に伴う旅費や宿泊費については「個別の事情に相当程度立ち入って審理せざるをえない面があり書面だけで判断することは難しい」として認めませんでした。
この訴訟は(本弁護団が提起しているような)個人が自分の損害を回復するための手続として行う訴訟と異なり、消費者被害を早期に集団的に回復することが目的であることから、消費者の個別の事情に立ち入らないと判断が難しく「債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」(特例法3条4項)にあたる場合には、審理の対象とされません。同様の趣旨から、慰謝料なども審理の対象とされません(特例法3条2項)。
慰謝料については特例法に明示されていますが、旅費や宿泊費は条文上明確でないため、消費者機構日本はこの裁判のなかで受験生の旅費や交通費の支払も請求し、裁判所がこれについて判断を示したものです。
したがって、受験生は、この裁判が確定すれば、第二段階目の「対象債権の確定手続」に参加することで、受験料や郵送料の支払を受けることができますが、旅費・交通費や慰謝料の支払を受けることはできません。
この点、私たち医学部入試における女性差別対策弁護団が、東京医大や順天堂大に対して行っている裁判は、共通義務確認訴訟とは異なり、いずれも、個別の受験生ご本人が原告となって、ご自身の損害について大学に賠償を求めている裁判です。したがって、個別の精神的損害である慰謝料や旅費・宿泊費なども、審理の対象とされます。旅費・宿泊費や慰謝料が損害として認められるのかは、私たちが起こしているような個別訴訟のなかで判断されていくことになります。
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今回の共通義務確認訴訟における争点は「本件得点調整をしたこと自体の違法性」ではなく、あくまで「本件得点調整の事前の説明義務違反」でした。
したがって、裁判所は、得点調整自体の違法性についてはっきり明言はしませんでしたが、大学が「個別の設置目的を有する私立大学の特性に鑑みてやむを得ない場合は別として、入学者の選抜に関しても、憲法やそれを受けた公法上の諸規定の趣旨を尊重する義務を負う」とし、「本件得点調整は、憲法14条1項や大学設置基準2の2の趣旨等に反するものであって、本件対象消費者との関係で違法である疑いが極めて強い」と判断しました。
この判断は、得点調整『自体』の違法性を主張している、私たち弁護団の訴訟にとって、とても重要な判断であり、評価できると思います。
また、裁判所が、大学側の、得点調整を知ったとしても受験しないとはいえないとの主張を退け「本件対象消費者の大部分は、属性に基づく得点調整が事前に判明していれば、本件大学に出願しなかったものと推認するのが相当である」と認めました。これも、誠に当然ながら、とても評価できる判断だと思います。
このように、本判決は、
本件得点調整が違法である可能性が極めて強い
得点調整を事前に知っていれば出願しなかったと推認することが相当
とするその骨子において、私たちが提起している個別受験生による損害賠償請求訴訟へのとても大きな追い風になるものでした。
2019年3月22日に東京地裁へ東京医大に対する損害賠償請求訴訟を提起して約1年。この判決をまた一つの力として、私たちも更に前に進んで行きたいと思います。
また、2020年1月には聖マリアンナ医科大学の第三者委員会の報告書が提出され、同大学の酷い女性差別の実態が明らかになりました。当弁護団は、第三者委員会報告書及び同大学の見解に対する意見書 https://fairexam.net/whatsnew/398/
を公表し、現在、聖マリアンナ医科大学を受験した方のご相談を受け付けています。
ご相談を希望される方は、弁護団のご相談フォーム からお申し込みください。
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口座名 :医学部入試における女性差別対策弁護団
口座番号:ゆうちょ銀行 記号10310 番号89651341
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店番 038
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