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お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

キャリア

相談26:文系研究職を続けたくて就職を決めたものの・・・

2021.04.29 Thu

初めて相談いたします。AI(大津市・26歳)と申します。
私は現在仕事をしながら大学院で研究をしております。
勤務先が研究内容に関係していて勉強にもなるから、と就職を決めました。勤務時間が短く、仕事をしながら大学院での研究もできる、という環境にはとても感謝しております。
しかし、昇進や昇給の見込みがないこと、昔ながらの「女の仕事」が重要視されていることなどの理由から転職を考えています。
そこでネックになるのがこれまで私が最優先にしてきた研究です。文系の博士課程ということもあり、一般的な正規雇用で働くとなれば研究はあきらめなければならいと思っています。
研究にのみ没頭できればいいのでしょうが、博士課程の将来の不安を思うと踏み切れません。教員や研究員になることを最も望んでいますが、自分のできの悪さを思うと誰にも相談することができません。

回答

経済的安定を元に研究活動は在野で継続

AIさん、こんにちは
今後の人生を考え、いろいろと悩んでいらっしゃるご様子です。
ご相談を拝見して、以下のようにアドバイスをさせていただきます。文面からの推測で申し上げることをお許しくださいね。

① 経済的安定の確保
生きていくための手段をどのように講じるかです。やりたいことをするにも、まず生きることが最優先でしょう。文面では、「研究にのみ没頭できればよいのですが」とありましたが、そういった生活も許される環境なのでしょうか。現在は短時間勤務の非正規雇用でお勤めのご様子ですが、昇進・昇給、やりがいのある仕事を望んでいらっしゃることから、将来の経済的自立の必要性もお考えなのかと思いました。
その為には、おっしゃるように「一般的な正規雇用」で働くことが重要です。残念なことに、女性の非正規雇用の不安定さはこのコロナ禍でも実証されてしまいました。
「教員や研究員」をご希望とのことですが、文系研究者への道が狭いことはよく知られています。それでも、まずは指導教授や周囲の方にあなたの希望をオープンにしましょう。情報は求めなければ集まりません。指導教授はAIさんの進路についてきっと心配されているでしょう。思い切ってご相談されることをお勧めします。

② 研究活動の継続
大学での研究職が思うように見つからない時のプランBです。
選択肢として中学・高校教員はどうでしょう。教員免許を取得済みならOK,未取得でも大学在学中に必要単位を取ることは可能ですよね。教員免許があれば、全国の都道府県の教員採用試験を受験できます。
これは、いってみれば在野の研究者として生きるひとつの方法です。あなたの研究分野で、それが可能かどうかはわかりませんが、研究を続けたいという意欲をお持ちなので、こんな方法もあると提示させていただきました。

20代のAIさん、あなたにはたくさんの時間と可能性があります。誰にも相談することができないとおっしゃいますが、こうしてWANにメールをくださいました。もう一歩踏み出してみませんか?周囲の人をあなたの味方にしましょう。新しいことにチャレンジしてみましょう。きっと見える景色が違ってくるはずです。どうぞ前を向いて進んでいってくださいね。



回答者プロフィール

重原惇子

2級キャリア・コンサルティング技能士。キャリア・カウンセラー。女性、若年者を主な対象者として、現在は“若者サポートステーション”で、働きたくてもなかなか動きだせない若者たちの悩み、苦しみに向き合っています。年間のべ1000回のカウンセリングを通して感じたのは、個人の努力の限界と日本の雇用体制の矛盾。でも、まずは、目前の相談者が来た時より元気になって帰っていけるようなカウンセリングを心がける毎日です。

タグ:仕事・雇用