私たちは、ケアワーカズユニオン山紀会支部です。私たちは、大阪市西成区・社会医療法人山紀会の介護・医療現場で働いてきました。今から12年前、働きやすい職場をつくりたい、パワハラやセクハラ、サービス残業をなくしたい、高齢者や障がいのある方の生活をしっかり支えたいという想いから、労働組合を結成しました。
しかし、組合結成後すぐに「組合つぶし」が始まりました。法人は、組合拠点である「やまき介護すてーしょん」を法人内から孤立させ、業務連携は遮断、会議から排除、必要な情報が停止され、新たなに施設長が配置され徹底的な監視や激しいパワハラを受けてきました。
さらに、法人は、パワハラ相談に応じていた組合員に対して、懲戒処分を強行しました。また同時期に、世界中でコロナ感染が拡大し、介護・医療現場は極度の疲弊状態に陥った為、組合は法人へ労使紛争の停止を提案しましたが、法人は拒否し、組合員に対してさらなる懲戒処分を強行しました。やむにやまれなくて組合が医師会等に仲裁の要請行動を行うと、法人は要請行動に参加した組合員3名に対してスラップ訴訟という暴挙に出ました。組合は、組合活動に対する懲戒処分やスラップ訴訟を不当労働行為として労働委員会へ救済申立を行い、これらはいずれも不当労働行為として認定されました。
しかし、法人は、その後も態度を改めることなく、ついには組合拠点である訪問介護を2025年6月末に閉鎖すると、一方的に通告しました。組合は、現場職員、利用者さんとその家族、全国の支援者と共に、閉鎖反対の様々な行動に取り組みました。職場や本部前集会、地域でのデモ行進、署名活動、駅前や西成区役所前の街頭行動、労働委員会への救済申立、国会への質問主意書、行政機関への申立や交渉等(厚労省、大阪市、保健所、大阪市議、医師会等)、最後は利用者さんと共にストライキを決行しました。できることはすべてやりました。
訪問介護ヘルパー、利用者、家族全員が、山本時彦理事長へ閉鎖反対署名を提出し、閉鎖に関する話し合いを求めてきましたが、法人や理事長はその声を一切無視し、6月末、訪問介護を閉鎖強行しました。
また、閉鎖直前の5月末に法人内で元職員による利用者さんの生活保護費の横領事件が発生しました。組合と現場職員は事件内容を明らかにし再発防止に取り組むように求めましたが、法人は利用者、家族、職員に対して事件内容を一切明らかにしませんでした。この事件は、公益通報の結果、大阪市は経済的虐待として認定しました。それでも法人は現場職員や利用者さんに対して事件内容を明らかにしませんでした。この無責任な対応に、多くの職員はショックを受けました。
その後、訪問介護閉鎖により、訪問介護と一体的にケアを行ってきたデイサービスにも大きな打撃を受けました。組合は、何度も法人へ改善策を提示しましたが、法人は、放置しゼロ回答を繰り返しました。結果的に、本年9月末にデイサービスが閉鎖しました。そして、訪問介護とデイサービス閉鎖によって、多くの組合員は退職を決意せざるを得ませんでした。また、多くの利用者さんが涙を流し別れなくてはいけませんでした。とても悲しく、つらい判断でした。
資産65億円もある強大な社会医療法人山紀会に対して、組合活動を行ったこともない、初めて労働組合を作った介護職員たちが、12年間、法人に何度も踏みつぶされても、立ち上がってこれたのは、紛れもなく、共に歩んできた現場の仲間、利用者さんとその家族、全国の支援者や仲間、家族や友達の支えがあったからです。
2025年10月31日をもって、12年間に亘る「山紀会争議」は一つの節目になります。私たちは、大好きな職場と居場所を失いましたが、これで諦めたわけではありません。現場には組合員も利用者さんもいます。
私たちは、これからもさらに地域に開かれた労働組合をつくり、地域の介護労働者と繋がり、仲間と利用者さんと家族と共に新たな場を作り、地域で暮らす高齢者や障がいのある方の必要なケアを守るために、2025年11月より、山紀会支部から西成支部と名称を変更し、今の山紀会支部は「ケアワーカーズユニオン西成支部山紀会分会」と組織変更します。
これからも皆さんと団結し、繋がっていきたいと思っています。長年のご支援、連帯、本当にありがとうございました。
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