私の両手が塞がっていてドアを開ける事ができない時、その場に居合わせた人の、 女性の9割がドアを開けてくれます。男性の9割がドアを開けてくれません。

今の仕事に就いて三か月経ちます。
両手に荷物を持っていながらドアを開けなければいけない場面が毎日100回以上あります。
自分ひとりであるならば荷物を一度床に置いてドアを開けるか、荷物を両手にもったままお尻や肘を使ってドアを開けます。
その時人が居合わせることが多々あります。
私を見て「どうぞ」とドアを開けてくれる人、わざわざ向こうから走ってきて「お疲れ様です!」とドアを開けてくれる女神のような人、 「開けましょうか?」「大変ですねぇ」など温かい声を掛けてくれる人。
私がよっこらせとお尻でドアを開けているのをすぐ後ろで突っ立って見ながら私がドアを通過するのを待っている人。
私を目視していながらドアを開けない人。私の存在自体を見て見ぬふりする人。
本当に様々な人がいます。
しかし「女性9割、男性9割」というのはずっと変わりません。
年齢や場所は特に偏りはありません。性別だけです。

もし私が美少女だったら、よぼよぼのおばあちゃんだったら、プロレスラーのようなムキムキの男性だったら、 この比率は変わるのでしょうか。非常に興味があります。
男がクズと言っているのではありません。
国や時代が違えば、文化や教育が違えば、この比率は変わるのでしょうか。
遺伝子の構造のような深い理由があるのでしょうか。
女性の同僚にこの事を話してみようと思いましたが、「え?私は男の人もみんなドア開けてくれるよ?」と言われたら酷く悲しくなるので言えません。
男性の同僚に聞いてみようと思いましたが、男性はプライドがありいい顔をしようとするだろうと思い多分本音は言わず濁すでしょう。
ですから誰にも言えなかったのです。

この国で生まれ育ち、幼い頃から、 「あなたは女として生まれたので女らしく生きましょう」「男と女の違いはしょうがないから受け入れましょう」 という周りや社会からの声に落胆し首を傾げることが多々ありました。
勿論女であるから得をしたことも沢山あるでしょう。

今回の事はフェミニズムや怒りとは関係が薄いことかもしれませんが、 これほどまでに強く性別の違いというものを感じたことがなかったので寄稿させて頂きました。

【関連記事】
わたしのカラダ、わたしのエロを、自分の手にとり戻す感覚~シンポジウム「ポスターの彼女」からもらったもの - -荒木菜穂-
https://wan.or.jp/article/show/8355

WAN10周年記念シンポジウムのポスターに寄せて - -岡野八代- -
https://wan.or.jp/article/show/8356

WAN10周年記念シンポジウムのポスターデザインについて  合場敬子
https://wan.or.jp/article/show/8353

「都合のいい」女性像に抗う女性身体表象 :WAN10周年記念シンポジウムのポスターデザインについて  - -10周年記念シンポジウム実行委員会(伊田久美子)
https://wan.or.jp/article/show/8338
                    
WAN創設10周年シンポジウムを機に、みなさんから「怒りのエッセイ」大募集 - -10周年記念シンポジウム実行委員会(岡野八代)
https://wan.or.jp/article/show/8245

5.18WAN10周年記念シンポ@京都 託児申し込みは5/7まで
https://wan.or.jp/article/show/8342