本著のタイトルにある「子づれシングル」とは、「子どもを養育しているシングルの一生活者」を意味し、「ひとり親」や「シングルマザー」を使うことへの疑問から思いついた著者の造語です。 著者は、長年、この日本社会で女性がひとりで子どもを養育することの困難は当然なのだろうか、そうではないだろうという疑問を抱き続けてきました。

本著では、日本における子づれシングル女性が直面している、貧困、被差別、そして、生きづらさに焦点をあてています。なぜ、わが国の子づれシングル女性の多くが貧困になるのかという問題を実証的に問い詰め、労働市場における男女格差を捉えました。また、これまで、ほとんど取り上げられることがなかった子づれシングルの被差別やいきづらさを見据え、子づれシングルの被っている「重複差別」や生きづらさの構造を理論的に考察し、実証的に実態把握と要因分析を行っています。最後に、得られた知見をもとに、子づれシングル女性と子どもたちが生きやすい社会の実現をめざして問題提起し、政策提言を行っています。

◆書誌データ
書名 :子づれシングルの社会学-貧困、被差別、生きづらさ
著者名:神原 文子
出版社:晃洋書房
刊行日:2020/03/10
定 価:4620円(税込)