抗う少女・小説家たち
-
<抗う少女・小説家> ➅ 偽り続けた小説家 モンゴメリ 木村 民子
2024.07.30 Tue
「この本を書くのは出版社と読者を満足させるためで、わたし自身が満足するためではありません」 『モンゴメリ書簡集Ⅰ』より この本とは赤毛のアンシリーズの3冊目『アン』ブックスのことです。作者L・Mモンゴメリは、さらに「これに取り掛かるのはとても気が重いのです。『アン』の世界に戻るのは、と…
タグ:小説
-
<抗う少女・小説家> ➄ 野ブドウを売って原稿用紙を買った少女 バーネット 木村民子
2024.05.30 Thu
「あらまあ! あの子は乞食の子にパンをやった! いらないからじゃない。自分だって腹ぺこに見えたじゃないか。何とかして訳が知りたいもんだね」 (『小公女』より、原文まま) 少女の頃愛読していた『小公女』、私は特にこのパン屋のシーンが好きでした。主人公の小公女セーラはお嬢様として扱われていた寄宿制の女学校の中で、父の死により召使として酷使…
タグ:小説
-
<抗う少女・小説家> ➃ルイザたちの選択——結婚か、自由か 木村 民子
2024.04.30 Tue
「あたしがものを書くのをあなたは好まないんですもの。あたしはきっと一生結婚しないわ。このままで幸せだし、だれかのために自由をあきらめるなんて、今はしたくないもの」 『若草物語』ジョーの言葉より 『若草物語』の第2部で、ジョーはマーチ家の隣の家の青年ローリーのプロポーズをこう言ってはねつけます。『若草物語』の第1部はマーチ家の4姉妹の青春篇…
タグ:小説
-
<抗う少女・小説家たち> ③ヨハンナ・シュピリ 病める魂からの回生 木村 民子
2024.03.30 Sat
「あんたがいまおねがいしていることは、いまのあんたのためにはならないことだったのよ」 『ハイジ』より これはハイジの中に出てくるクララのおばあさまの言葉です。そして「神様は時がくれば、かならず助けてくださるよ、安心していらっしゃい」とおばあさまは、傷心のハイジをなぐさめます。ハイジが一心にお願いしても神様は聞き届けてくださらないからと…
タグ:文学
-
<抗う少女・小説家たち> ②ストウ夫人 台所から黒人奴隷を解放 木村 民子
2024.02.29 Thu
②ストウ夫人 台所から黒人奴隷を解放 「なるほど、あなたがこの大戦争を起こしたかわいい女性でしたか」 『アンクル・トムの小屋』旺文社文庫の解説より これは米国のリンカーン大統領が、ホワイトハウスで『アンクル・トムの小屋』の作者ストウ夫人に挨拶したときの最初の言葉です。南北戦争のきっかけになったと言われるこの本の作…
タグ:小説
-
<抗う少女・小説家たち>①メアリー・シェリー 処女作は夫の名前で 木村民子
2024.01.30 Tue
このシリーズは女性の作家、主に海外の「少女小説」といわれる作品の作者たちにフォーカスし、女性が作家として認められなかった時代、19世紀初頭から21世紀にかけてジェンダー規範と闘った女性作家たちの足跡を紹介していきます。彼女たちの不屈の精神なくては、女性は作家としての地位が認められず、作家という職業も確立できなかったはずです。 今日の文壇に…
タグ:小説