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こころ

相談63:社会人になるにあたって、もう少しメンタルを安定させたいと思います。

2017.03.07 Tue

はじめまして、私は機能不全家庭出身で、いじめも受けてきました。AC問題で困っています。

母はジェンダー観にすごく歪みを抱えた人で、「女親が息子をひいきするのは当たり前やから」といってきょうだい差別を正当化していたり、「女が間違っていたら男が殴って直すのが当たり前や」といって、祖母が祖父に殴られていても、私が兄に殴られていても見て見ぬふりをしたりしていました。父は「愛しているから」といって母の歪みを正そうとせず、子ども達が苦しんでいても何も感じていないようでした。私は彼らのことを心底気色悪いと思っていて、到底受け入れられません。

今大学4回生ですが、自力で脱出しようと途中体調を崩しながらも努力して、なんとか就職先を見つけることが出来ました。脱出の目処が立って本当によかったと思いますが、私は安心出来ない家庭内でずっと警戒心を持って過ごしてきたので、自分の感情・感覚にすごく鈍感です。不安や恐怖、怒りは感じやすいのに、喜びや楽しさ、達成感などの感情は感じづらいです。自分の領域を守られてこなかったので、嫌なことをされた時にすぐ気付けず、気付いても罪悪感を抱いたりして拒否出来ないことに不安を感じます。

親は私の嫌がることをやめてくれなかったので、嫌だと言ってもどうせやめてくれないのではないかという無力感もあります。また、親との愛着関係が無いのと、いじめの影響からか他人が怖く、いつも自分が責められているのではないかと警戒心を抱いてしまいます。

社会人になるにあたって、もう少しメンタルを安定させたいと思いますが、どうすればいいでしょうか。長文失礼しました。読んで頂いてありがとうございました。(緑、神戸市、22歳、学生)

回答

回答63:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

緑さま、

それは大変でしたね。拝読してこころが痛みました。でも、それだけご自分やご家庭を客観視できていて感心しました。就職もできてよかったですね。

とはいえ、あなたのおっしゃる精神的不安定さも十分に理解できますので、自信を持って、前向きに明るくとは、簡単に申し上げられませんし、それもおわかりのことでしょう。既述したご自分を視る力または客観視の能力、家を出た、という勇気にもまして投稿された勇気にも感心しました。

で、WANに紹介されている最寄のフェミニストカウンセリング・ルームをお訪ねください。あなたは学生でいらっしゃるから、料金的にご無理のところもあるでしょう。ただ、ルームにはいろいろの自助グループやACグループの語り合い会のような、ほとんど無料に近いプログラムがあると思います。お答えが「逃げ」に聞こえたらごめんなさい。苦しい(かった)経験を何度も繰り返して表現される機会を得ることによって、回復への道がひらかれると思います。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。

タグ:フェミニストカウンセリング