お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談69:夫との関係で悩んでいます。

2018.05.30 Wed

夫との関係で悩んでいます。結婚して7年になります。出会った時から夫が何事も決めてくれて、最初は心地よかったのです。そのうち、私の家事の要領が悪いと言い、夫は50項目の家事のリストを作り、できないと怒るようになりました。怖かった。週末には、一晩中お説教されることもありました。結局、体調を壊して仕事も辞めましたが、勝手に仕事をやめたからと生活費をもらえず、私がパートで働いて貯めていたお金を生活費にあてている状態です。夫は職場から、家にも電話をかけてきます。いつ電話がかかってくるかわからないので外にも出られません。毎日、緊張して生活しています。

公共の相談機関に相談したら「家を出たほうがいい」と言われたのですが、今の生活から抜け出しても先の見通しがわからないので、家を出る決心がつきません。一方で、貯めていたお金もそろそろ底をつきますし、このままでは自分がダメになるという思いもあり、揺れています。私は、まるで奴隷みたいです。

両親は高齢で、孫を楽しみにしています。それを思うと、離婚して実家には帰りづらいです。いろいろと考えばかりが巡り、とても苦しいです。今の苦しさを、どこからどう抜け出したらよいのでしょうか。(30代 女性)

回答

回答69:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

つまり、あちらを立てればこちらが立たず、というような状況ですね?そこに自分が追い込まれていらっしゃる、というか自ら追い込んでいらっしゃる。あちらを見ても(出ていく)100%ダメ、こちらを見ても(留まる)同じく100%だめ、と。

これでは苦しいだけでなく、ほとんど決論はでないでしょう。

まず「出ていく」ことを考えてみましょう。お手紙だと、仕事も辞められて経済的自立はムリのようですが、そうなのでしょうか?孫を見たいという親の期待も無碍にできない?私には、こちらの状況を選択することは、本音ではしたくない、というふうに聞こえます。では、「留まる」は?あなたがパートを辞めて、その貯金を取り崩して生活しているというのに、それをいいことに生活費をわたさないということが本当だとすれば、彼はそんな残酷な人なのでしょうか?結婚時にはそれはわからなかった?

これは私の推察ですが、あなたはパートを辞められたことに申し訳なさを感じ(誰もあなたを責めてはいないのに)、生活費はご自分で出す、と言葉にしないまでも、動作で彼に伝えてはいない?それをいいことに、彼は居直っている(ようだ)のとは違う?いくら怖くても、7年も生活を共にしているのですから、あなたの大変さは、どれでもいいから伝えてみてはいかがでしょうか。何もなさらないで何かを決めることは、空気で決めるようなものです。決められないし、決めたことに実感が持てないでしょう。思い切って、お話してください。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。