2011.01.30 Sun
私の韓国滞在も、早いもので残り一カ月となりました。さすがに一年近くも現地に住むと、韓国語にもだいぶ慣れてきたことを感じます。こちらに来た時点で、簡単な日常会話であれば可能(語学学校も中級に編入しましたし)なほどの力はあったはずですが、それでも今と比べれば全く心もとない状態だったと思います。
半年近く通った語学学校で、毎日午前中は読み・書き・会話・聞き取りの授業を受けていたことで鍛えられたところもあると思いますし、やはり日常生活のなかで慣れたことも大きいでしょう。訓練のために、こちらに来てすぐの頃から毎日、インターネットで韓国のポータルサイト(DaumやNaverなど)に集まってくる様々なニュースを読むようにしていたのですが、ほんの数カ月前までは、なかなか文字が頭に入ってこず、どうせ分からない単語が多いだろうし・・・と、読む気すら起こらない感じだったのですが、最近は、分からない単語はありながらも、ほとんど抵抗なくニュースに目を通そうとしている自分がおり、そしてわりあい内容を把握できることも多く、我ながら少し成長したなと感じています。
そんな韓国のネット環境は、すでに知られているように、かなり‘発達’していると言えるでしょう。だいたいのことはネットで出来ますし・・・良いのかどうかかなり微妙なところですが、住民登録番号(外国人の場合は、外国人登録番号)でしっかりと管理・監視されていますので、基本的に「安全」です。
ちなみに、登録番号は全部で13桁、生年月日を表す6桁+性別&出生年代&韓国人か否かを表す1桁+6桁という構成ですが、ほとんどのサイトで会員加入の際に必ず必要で、サイトによっては、会員加入手続きの最初の段階で入力させ、「実名」証明を求める場合がありますし、この番号がなければ、ネット上だけでなく実生活においても不便さを感じることがとても多くなります。また、外国人登録番号では加入できない仕組みになっているサイトもあり、WANでも以前紹介された「フェミニストウェブマガジン・IF」もそういったサイトの一つで、「住民登録番号」の欄に自分の番号を入力して、「間違った番号です」というメッセージが出ると、少し淋しい気持ちになるのでした。
それはともかくとして、韓国ではネットが、老若男女を問わず(正確には、「老若」は問うかもしれませんが)、人々をつなぐ力として、2008年の「ろうそくデモ」でその威力を発揮しました。しかし一方では、芸能人の自殺の原因にネットでの誹謗中傷が囁かれるなど、望ましくない方向で人々をまとめるという側面もあることは忘れてはいけないでしょう。
ところで、大手ポータルサイトでは常に膨大な新しい情報がアップされ続けているわけですが、私のようにサイトで主にニュースをチェックする人間からしても、気付かされることが多々あります。(写真1 Naver。http://www.naver.com/)
例えば、代表的なポータルサイトであるNaver(ネイバー)やDaum(ダウム)のトップにはニュースのヘッドラインが表示されるわけですが、それがわりと短時間でどんどん変わります。(もちろん変わらないものもあります)なので、朝見たニュースを夕方に探そうとして苦労することがあるので、「これは」と思った記事はその場でメール送信するか印刷するようにしています。また、様々なネット新聞のニュースが一挙にポータルサイトに集まるので、ほぼ同じ内容の記事であっても、いくつか比較して読むことができるという利点もあるでしょう。そして、例えばNaverの場合であれば、自分の指定した新聞の朝刊ヘッドラインやコラムなどが自動的にマイページに届く機能もあり、ポータルサイト側がニュースとして選んだ情報だけでなく、自分がアンテナを張っておきたい情報もカバーできるという点で、新しいと言えるかもしれません。
また、記事を検索したりすると、記事タイトル・掲載紙とともに必ず何時何分に更新されたという情報が明記され、Daumの場合は「何分前」、「何時間前」、「何日前」・・・とまで記され、いかに「新鮮か」が一目で分かるようになっています。(写真2 Daum。http://www.daum.net/)
そして、ポータルサイト上でもう一つ面白いことは、「現在の検索語ランキング」です。(写真3 写真の下半分が検索語チャートで、検索のポイント数や順位の推移が表示されています。)とくにDaumでは、ニュースのすぐ下に検索語ランキングが出ているのですが、毎分更新されるという体裁を取っており、Daumを訪れる人が今どんなキーワードで検索しているかを(名目上)知ることができるようになっています。
ですがこれを鵜呑みにできないのは、そこまで的確なキーワードで検索する人はいないだろう・・・と思えるキーワードが度々見られることです。つまり恐らくこの検索語チャートは、ポータルサイト側の注目度と記事の閲覧者数と検索数など複合的な要素をもとに設定された検索語を用いたチャートであると見ることができ、そのチャートを見た人が検索語をクリックすることで、さらにそのチャート自体の信ぴょう性が上がっていく・・・という仕組みなのだろうと思います。
一方では、検索語だけでは何の話題か分からない場合もあります。例えば写真3の検索語チャートの1位は「オーストラリア 日本」なのですが、これはサッカーアジア杯決勝の試合結果を検索する言葉で、「あぁ、今それが話題なのか」と、なんとなく流行(?)についていく手がかりになるような気もするので、つい気になってしまうのです。
ちなみに、1月29日の検索ワード1位は、サッカー韓国代表朴智星選手の結婚説に関わって、「朴智星 夫人」でしたが、翌30日には10位にも入っていないなど、入れ替わりの激しさも、さすが「ニュース」といったところです。(29日の10位は「オーストラリア 日本」でした。)
また、第10回のハナ通信で取り上げたドラマ「シークレット・ガーデン」は大好評のうちに最終回を迎えたのですが、一時期は検索語チャートの半分を「シークレット・ガーデン」関連が占めていたこともありました。そんな状況や、「大当たり!」「爆発的人気を博した」という文字が躍る記事を見ていると、(「シークレット・ガーデン」は本当に大当たりだったわけですが)それに自分があっさり流されているようで少し怖くなってくるのです。(そう言えば、「シークレット・ガーデン」は、今年の5月にNHKでの放映が決まったそうです。)
もちろん、ポータルサイトだけでなく、日本にもあるような各種ブログ、mixiのようなSNSもありますし、「カフェ」と呼ばれる会員制サイトも様々なジャンルによって夥しい数開設されています(公式・私設様々なカフェがあります)。Twitterなども含めると、本当に大変な量の情報が行き交っていることを日本にいる時よりも強く感じるのは、私が少なくとも韓国では、情報リテラシーに疎いからでしょう。情報との出会いは運にも左右されるものでしょうが、門は開かれていながらもどこでどう情報を集めて良いのかまだ要領が掴めていない私にとって、韓国のネット社会はまだまだ未知の世界です。
最後に、芸能ニュースを見ていて面白いのが、例えば現在放映中のキム・テヒ(1980~)&ソン・スンホン(1976~)出演の「マイ・プリンセス」(MBC。チャン・ヨンシル脚本)で話題のシーンなどがあったとすれば、「キム・テヒ、ソン・スンホン、ついにキス」などのように、役者の名前でドラマの内容が記事になることです。(写真4 マイ・プリンセス)「それってニュースなの?」「ドラマの話でしょう?」と最初は釈然としなかったのですが、それもこれも韓国流の情報リテラシーのあり方なのだと思います。
ネットと関わって、私がよく恩恵に与っているのが、TV局のサイトです。ドラマを含めた各種番組の再放送が無料で見られたり(KBS。一定期間経過後は有料)、有料ながらパソコンにダウンロードして何度でも楽しめたり(SBSなど。ドラマなら一話約40円程度で、期間中に数回ダウンロード可能)と、いつも活用しています。韓流の影響もあり、TV局のサイトでは日本語版サイトがあったり、外国在住外国人の登録・視聴も可能なところが多いので、「新鮮」なTV情報を得たい方は是非アクセスしてみて下さい。
・KBSサイト http://www.kbs.co.kr/(「成均館スキャンダル」はこの局です)
・SBSサイト http://www.sbs.co.kr/(「シークレット・ガーデン」はこの局です)
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