ジャストインケース―終わりのはじまりできみを想う
2011.06.25 Sat

ジャストインケース―終わりのはじまりできみを想う
訳者など:メグ ローゾフ ()
出版社:理論社
時に、いやだいたいにおいて、思春期がやっかいなのは、自分がどこに所属しているかよくわからないことにある。もう子ども扱いされないし、大人扱いもされない、じゃあなんだと問うても、そう問うことが思春期なのだとか言われてしまう。 仕方なく、思春期は群れるしかなかったりします。 この物語はそうした時期、正確にはそうした時期扱いされてしまう時期の16歳、本名デイヴィット、自称ジャスティンが、陥ってしまった心の迷路を描いています。 デイヴィットは弟、赤ん坊のチャーリーがある日、二階の窓から転落しそうになったのを助けます。が、その時から運命恐怖症になった彼は、すべての厄災から逃れるために、ジャスティンと名前を変える。変えるったって、それを学校でも表明しなくちゃならないし、間違いなくヘンなやつだと思われるし、却って波乱が始まります。 そして、ジャスティンを待ち受けていたのは、彼には厄災としか思えない出来事でした。 両親の無関心や、初体験の痛みや、自尊心の崩壊や、作者は思春期的やっかいさを満載に、悲惨とユーモア(まあ、これは裏表ですが)をまじえて描いていきます。 一見奇妙な物語でありつつ、しっかり成長物語でもあるのがおもしろいです。
カテゴリー:家族 / ひこ・田中の、 子どもの本イチオシ
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