ひこ・田中の、 子どもの本イチオシ

二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)

2011.07.11 Mon

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二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)

訳者など:イサボー・S・ウィルス ()

出版社:東京創元社

 十四才フローラの屋敷は一万一千の部屋を持つのだが、それが魔法使いの執事によって維持されていた。ところが、父親が心を煩い、群のナンバー2だが実質トップの母親は質実剛健で、なんでも執事任せの華麗な屋敷を好まず、執事を弱らせ、閉じ込め、今や屋敷はどこがどうなっているのか、どこからどう行けばいいのかもわからず、少ない部屋で暮らしている。とはいえ、家に枯れることはめったにない彼女。父親は世話のいる状態なので、家事から介護まで一切をフローラが行っている。従って屋敷は荒れ放題。まもなく成人式があるのに、その準備を全部自分でしなければならないフローラは何もできていない。  そんなギリギリ人生のフローラだが、ひょんなことから執事を発見。彼は弱り切っていて、フローラの精気を分ければ元気になるという。元気になってくれれば、家事も、成人式の準備も任せられる。フローラは執事の提案に承諾するのだが・・・・・・。  という生活設定に、冒険設定が絡んで小気味よく展開していきます。  ほぼ子育て放棄の両親。裏のある執事。変化する迷路のような屋敷。そして、タイトル通り、彼女は死んだ姉フローラの後釜にアイデンティファイさせられている二番目のフローラ。  勝ち気で個性的な主人公であるにもかかわらず、その定まらない位置づけって辺りが、まさしく現代の物語です。

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