【調査研究報告】公的部門の最前線で女性支援を行う婦人相談員の初の全国調査
全国の婦人相談員約1500名を対象とした初の実態調査を実施し、婦人相談員の専門性、
労働状況等の現状と課題を明らかにしました(有効回答率39%)。DVや性被害等の困難を
抱える女性を支援する公的な専門職である婦人相談員の全国的な調査は、これまで行われ
ておらずその実態は十分把握されていませんでした。
婦人相談員の調査結果では、回答者の約7割が「社会福祉士」等の公的資格を保有し、約9割が業務にやりがいを感じながら相談
支援に取り組んでいます。しかし、約8割は非正規雇用で不安定な立場に置かれています。
本研究では、2022 年に成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の2024年施行に際し、新たな女性支援の枠組みにおいて重要な役割を果たすことが期待されている婦人相談員に対する正当な評価や待遇改善に関する政策提言を行うことを目指しています。婦人相談員の実態の解明は、婦人相談員の社会的役割や方向性を示すとともに支援実践へのフィードバックや女性支援政策への貢献、また婦人相談員の労働状況にとどまらず、婦人保護事業や社会福祉分野で支援に携わる者、民間NGO等における支援者の専門性、労働研究の発展につながることが期待されます。
毎日新聞に、同婦人相談員調査研究報告書の記事(日英)が掲載されました。また、東京大学大学院情報学環のウェブサイトでプレスリリースを行い、同報告書も閲覧することができます。
毎日新聞記事
困難抱える女性の相談員、6割が月収20万円以下 支援に影響懸念 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20231028/k00/00m/040/241000c
60% of Japan's counselors for women in need paid under $1,330 per month: study -
The Mainichi
https://mainichi.jp/english/articles/20231102/p2a/00m/0na/030000c
東京大学大学院情報学環ウェブサイト
婦人相談員調査研究報告書は、【論文情報】からダウンロード(オレンジ文字クリック)
することができます。
https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2023103019217
東京大学 小川真理子