2014.03.18 Tue
【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-6(31)31 子どもの意思の把握
審判で子どもの意思はどのように反映されるのですか。
◎ 新法で子の意思尊重が明文化
子どもがいる夫婦・元夫婦間の調停や審判事件の結果は、子どもにとても大きな影響を与えることが多いです。親権者がどちらになるのか(親権者指定・変更)、一緒に暮らしていない親とどのように会うのか(面会交流)など、父母が当事者とはいえ、子どもの意向を全く度外視するのはどうかと、常識的にも思いますよね。
家事審判法のもとでも、家庭裁判所調査官の調査【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-6(31)31 により、子どもの意思を把握しようとはしていました。しかし、明文の規定はなく、子どもの意向を審判・調停に反映させる制度的な保障は十分ではありませんでした。
2013年1月施行の家事事件手続法は(以下、家事法と略します)、子どもを審判や調停の埒外に置くのではなく、手続への参加を可能にし、子どもの意思の把握に努めてその意思を尊重するなど、子どもの意向を審判、調停に反映させるための条文を備えています。
◎ 新法の条文
子どもの手続保障、子の意思の把握のために設けられた制度は以下の通りです。
1 家庭裁判所は、未成年の子が影響を受ける家事審判において、子の意思を把握するように努め、審判にあたり、その意思を考慮しなければならない(家事法65条、調停への準用258条1項)。
2 15歳以上の子どもの陳述を聴取しなければすることのできない家事審判の範囲を、子の監護に関する処分(家事法152条2項)、親権者の指定・変更に関する審判(家事法169条2項)に限らず、親権喪失・親権停止・管理権の喪失の審判(家事法169条1項1号)、未成年後見人・未成年後見監督人の選任審判等(家事法178条)に拡大しました。
3 子の身分関係に影響が及ぶような家事事件について、未成年の子どもも意思能力があれば自ら手続行為(審判、調停)をすることができる手続行為能力を認めました(家事法118条・151条2号・168条7号、235条、160条2項、161条2項、162条2項、252条1項2号・4号・5号)。
4 意思能力があり、手続行為能力がある場合は、自ら、利害関係参加人として参加することができるほか、家庭裁判所は相当と認めるときは、職権で利害関係人として参加させることができることになりました(家事法42条3項・調停への準用258条1項)。
そして未成年の子どもなど行為能力の制限を受けた者一般について、手続代理人の制度が新設されました(23条)。
子どもが影響を受ける事件について、当の子どもが手続に参加し、その意思を反映してもらえる制度が出来たことは、大きな意義があります。
次回は子の手続代理人について説明したいと思います。
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