2014.04.18 Fri
【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-7(32)32
子どもの手続代理人 調停や審判で子どもに手続代理人がつくことがあるそうですが、どんなことをするんですか。
◎ 子どもにはサポートが必要
前回(NO.31)、以前は子どもの意思を家事手続に反映させる制度的な保障は十分ではありませんでしたが、家事事件手続法(2013年1月施行、以下家事法)は、子どもの意思を反映させるための条文が整備されていること、その一環として、子どもに手続行為能力があれば、自ら手続行為(審判、調停)をすること、或いは、利害関係参加人として参加することが認められると説明しました。
家事事件で、自分の言い分を的確に反映させるために、大人だって手続代理人が必要になるときがあります。子どもならなおさら自分の意向を適切に反映してもらうには、手続代理人、大人の弁護士のサポートが必要になります。そこで、子どもが自ら手続行為をし、或いは参加している審判・調停事件において、子どもは自ら手続代理人を選任するか、必要な場合には裁判長が選任することができます(家事法23条)。
なお、手続代理人は原則として弁護士ですが、家庭裁判所の許可を得て、弁護士でない者が手続代理人になることも認められています(家事法22条1項、ただし家庭裁判所はいつでも許可を取り消すことができます。同条2項)。
◎ 子どもの手続代理人とは?
子どもの手続代理人は、子どもに対し、①手続の現状に関する情報を与える、②調停・審判の経過、見通しを踏まえた対応、③父母に子どもの意向を伝え、調整する等ができます。
ところで、以前から、子どもの意向を把握するために、家庭裁判所調査官による調査が実施されてきました。専門的な見地からの調査官調査が今後も重要なことは言うまでもありません。しかし、調査官の調査において、子どもはあくまで調査の対象、客体という位置づけです。
そして、あくまでも調査官は中立的。となると、葛藤の強い父母に遠慮している子どもが、調査官に自分の意思や希望を積極的に表明することは難しいこともありそうです。自分の立場を父母ないし裁判所に伝えてくれる手続代理人を介してなら、少し安心して、自分の意見や希望を述べることができるかもしれません。
◎ 具体的には?
家事法施行後、各地で熱心な子どもの手続代理人活動が行われています。事案としては親権喪失、停止、離婚にあたっての親権者指定、親権者変更など。児童福祉司など関係機関からたまたま弁護士が相談を受けたことがきっかけになったり、偶然弁護士と結びついたことが多いようで、まだまだニーズは潜在しているようです。
各事案の子どもの手続代理人は、何度も子ども、親族、関係者と面談し調整活動を行っているようです。 費用は父母が折半したものもあるようですが、ほとんどが子どもに関する法律援助事業(日弁連が弁護士会員の会費を財源として人権救済上必要な事業を日本司法支援センターに委託している公益性の高い業務のひとつ)が利用されています。
子どもが否応なく影響を受ける事件に積極的に自分の意向を反映することができるよう、今後どんどん子の手続代理人が活躍できるといいですね。
カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド
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